イノベーションの魂を大企業に再び呼び覚ます

「私は、パナソニック創業者の松下幸之助の理念に共感して入社しました。今回起業して、いっそう共鳴するものを感じました。例えば『お客様が欲しい物をつくるのではなく、お客様のためになるものをつくる』という発想。これがミツバチプロダクツのビジネスを進めていく上で、とても大きな力になっています」

 この発言を受け、徳弘氏もこう続ける。

「パナソニックが、BeeEdgeに出資してまで実現しようとしている本当の目標がそこにあります。イノベーションにつながる新規事業のアイデアを出してもなかなか採用されないようでは、大企業内部にいつまでも変革の姿勢は根付きません。けれどもBeeEdgeが絡むことで、新しい挑戦の選択肢が生まれます。浦さんの奮闘ぶりにパナソニックの社員たちは大いに刺激を受け、私のもとにも各部門からアイデアが集まってきています」

 オープンイノベーションの課題といわれ続けている「大企業内部の意識変革」。それを共創相手の外部スタートアップやアクセラレータに依存するのではなく、自らスタートアップを輩出し、アクセラレーションにも着手する。それがパナソニックの新たな挑戦であり、その効果はすでに現れ始めている。