今「ファクトフルネス」が注目される理由

話題の名著『FACTFULNESS』に学ぶ、思い込みの捨て方

松ヶ枝 優佳/2019.6.10

いいね ツイートする

6.パターン化本能

 人は無意識に物事や状況をパターン化し、それをすべてに当てはめてしまうもの。パターン化は生きていく上で必要な思考の枠組みだが、誰しも分類の仕方を間違えたり、少数の例や一部の例外的な事柄を基に、グループ全体の特徴を決めつけてしまいがちだ。「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込みは思考停止につながり、物事への理解を妨げるだけでなく、重大な機会損失にもつながる。

 これを防ぐには、常に「自分の分類の仕方は間違っているかもしれない」と疑い、強烈な印象の「例外」にとらわれ過ぎていないか等、よく使ってしまう分類を見直し続ける必要がある。

7.宿命本能

 持って生まれた宿命によって、人や国、宗教や文化の行方は決まるという思い込み。物事が昔から今の姿であるのはどうにもならない理由があるからで、これからも永遠に変わらないし、変われない、という考え方だ。

 実際には、「インターネットやスマートフォンの普及」のような急激な変化でないため実感できていないだけで、社会や文化は昔から常に変化し続けている。

 宿命本能を抑えるには、小さな進歩を追い続け、自分の中の知識を常に新鮮に保つよう心掛けること。そして、自分の価値観を親や祖父母、子や孫世代のものと比べてみるなど、実際にどのくらいの変化が起こっているのか確かめることが有効とされる。

8.単純化本能

 世の中のさまざまな問題に対し、1つの原因と1つの解答を当てはめてしまう傾向のこと。1つの視点だけでは世界を正しく理解し、問題に対して現実的な解を見つけることはできないとされる。

 自分の考え方が正しいことを示す例ばかりを集めたり、問題解決の一部に役立ちそうな専門知識を強引に振りかざすのではなく、専門や立場が異なる人々の意見にも謙虚に耳を傾ける。このようにケースバイケースで問題に取り組むことで、単純化本能を抑えることができる。

9.犯人捜し本能

 何か悪いことが起きたとき、単純明快な理由を見つけたくなる傾向のこと。誰かを責めたいという本能に囚われると、複雑な真実に目を向けることができなくなってしまい、将来同じ間違いをしてしまう可能性が高まる。

 物事がうまくいかないときには犯人捜しをするのではなく、複数の原因やシステムを見直す。反対にうまくいったときにはヒーローではなく、社会基盤とテクノロジーに目を向けるよう努めることで、この本能を抑え込むことができる。

10.焦り本能

 目の前に危機が迫っていると感じると、すぐに動きたくなる本能。しばしば「今すぐ手を打たなければ、取り返しのつかないことになる」といった言葉で引き出される。焦り本能が顔を出すと、他の本能も引き出されてしまうので、冷静な判断力は奪われ、批判的に考える力も失われる。

 これを防ぐには、まず一呼吸おいて自分の焦りに気が付くこと。そして「今すぐに決めなければならない」ことは滅多にない、と知ること。むしろ極端な予測に惑わされず、時間をかけて正確な情報やデータを収集し、冷静な分析に努める必要がある。