また、「起業に関する教育、研修をいつ受けたか」という設問に対しては、そもそも受けたという回答が4割を割っており、その回答者が「いつ受けたのか」という設問に対しては、「大学・大学院」が半分近くを占め、「中学・高校」にいたっては1人だけというさみしい結果となっている。

出典:「ベンチャー白書2018」
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 まさに、これが日本においてベンチャーがもうひとつ盛り上がりに欠けるという「教育」の問題を表していると思う。この「中学・高校」のグラフが100%になるくらい、高校までの間に起業力教育を全生徒が受けることになれば、日本は相当変わってくるのではないかと考えている。

教師に対する教育

ブリュッセル公園の横で偶然に遭遇した騎馬隊。石畳の上を闊歩する蹄鉄の小気味の良い音とトランペットのファンファーレで、しばし過去にタイムスリップ。要人の警護のようだった。

 私自身は、第6回および第7回で紹介したように、米国の高校での起業力教育、そしてそれを盛り上げる全米+諸外国の高校生大会「DECA ICDC」を見てきているので、およそのイメージは掴めている。

 だが、今の日本の高校教師に、いきなりそれと同じ起業力教育を始めろと言ってみたところで、実現はおぼつかないどころか不可能であろう。つまり、まず教師に対する起業力教育研修が不可欠なのである。

 この点について第11回で紹介した、“Entrepreneurship Education at School in Europe”レポートに立ち戻り、どのように記述されているかを見ていきたい。