欧州委員会の“EntreComp”
さらに同レポートの内容を深く知るために、1月末にブリュッセルの欧州委員会教育文化総局を訪れた。
欧州委員会教育文化総局の玄関。他の総局の建物と異なりカラフルだった。
前回「起業家教育」という用語では起業のためのテクニックを教えるという狭義になってしまうので、「起業“力”教育」という新語をひねり出し、広義の起業する力、その情熱を育成する教育ととらえるべきではないかと提案した。
欧州委員会においても、高校生まではまさに広義での“entrepreneurship education”をとらえているということだった。いろいろなレポートの中で「能力としてのentrepreneurship(entrepreneurship as a competence、省略して“EntreComp”という造語があった)」という表現が目立つ。
そして“EntreComp”は次の15の能力だと整理している*1。
1. アイデアとチャンス
1.1. チャンスの発見
1.2. 創造性(creativity)
1.3. ビジョン
1.4. アイデアの価値化
1.5. 倫理的で持続可能な思考
2. リソース
2.1. 自己意識
2.2. モチベーション
2.3. リソースの動員
2.4. 財務的経済的能力
2.5. 他のステークホルダーの動員
3. 行動
3.1. イニシアチブを取る
3.2. 計画し運営する
3.3. 不確実性やリスクに対処する
3.4. チームで行動する
3.5. 経験から学ぶ
1.2.の創造性や3.4.のチーム形成の重視はアメリカ流の踏襲とも言えるが、1.5.が単に持続可能なだけではなく、「倫理的」思考となっているところが、ヨーロッパ的と言えるのかも知れない。
*1:“EntreComp: The Entrepreneurship Competence Framework”レポート。