一般に、組織にデジタル変革を起こす旗振り役がCDO(Chief Digital Officer)だが、日本IBMのようなIT企業は、事業自体がそもそもデジタルに関わっている。そのような企業におけるCDOはどのような役割なのか。日本IBM チーフ・デジタル・オフィサーの尾股宏氏に、デジタル分野における経営陣コミュニティ「CDO Club Japan」理事の鍋島勢理氏が聞いた。(JBpress)
世界各地の7人のCDOが連携している
――IBMにおけるCDOの役割はどのようなものでしょうか。
企業にデジタルトランスフォーメーションやディスラプションを起こすのに使われるのがITですが、ディスラプターから脅威にさらされているのも皮肉なことにIT産業です。IBMはこれまで、エスタブリッシュされたお客さまとエスタブリッシュされた環境で成り立っていた強い会社だと思います。しかし、デジタルの波にさらされて、変わらなければならないという大きな問題意識が生まれ、3年前にCDOという職が設けられました。
米国本社のCEOの直轄のCDOとして招へいしたのがボブ・ロードという人物です。彼がグローバルなIBM全体のトランスフォーメーションをリードする、という形でスタートしました。IBMは世界を日本、アジアパシフィック、GCG(大中華圏)、北米、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、中東・アフリカという7つのジオグラフィで管理しているのですが、それぞれのジオグラフィにひとりずつCDOを置いていて、私もその一人です。
このCDOがグローバルに連携しながら、トランスフォーメーションをリードしています。月に2回レビュー会議を行い、ビジネス業績の報告だけではなくて、ベストプラクティスや失敗例の共有などもしています。いいものはすぐに実験するし、ダメなものはすぐやめる、そのような横展開を行うのがそれぞれのCDOの役割です。