ただ、それでも同社には変わらぬ強みが2つある。1つは、「食」という人間の基本的な行動にかかわるデータを大量に持つこと。もう1つは、長年のサイト運営で積み重ねてきたブランド力である。クックパッドの国内における平均月間利用者数は、2018年第一四半期(1月~3月)の時点で5653万人。海外における平均月間利用者数は、3627万人(同時点)である。国内サイトで公開しているレシピ数は289万品におよぶ。
これらの強みを生かして飛躍できるかどうか。近年オープンイノベーションに着手する大企業が増えているが、このような活動は突破口の1つとなり得る。
クックパッドの住氏は、アクセラレータの半年間の成果を「あくまでも通過点」と断りを入れる。採択した5社との正式なプログラム期間は終わったが、「今後も新しい価値を生み出せるよう協業の可能性を模索する」(住氏)。平行して次期アクセラレータプログラムの準備も進めていく。
今後アクセラレータの活動を継続させながら、オープンイノベーションのために必要なリソースは何かを見極めるという。オープンイノベーションにおいては多くの場合、大企業は自社が持ちうるリソースをベンチャー企業に提供し、それをベンチャー企業が活用する。しかし、大企業側が持つリソースはあくまで自社のためのものなので、必ずしもベンチャー企業が伸びるために適切とは限らない。
「必要なリソースを用意できれば、クックパットはプラットフォームとしてベンチャー企業に対して存在感を示せる。またクックパッド自身ももっとイノベーティブな存在になれるはずだ」(住氏)