例えばリンクアンドシェアの経営トップ・中間秀悟代表取締役については、「これほどに日本各地の食品メーカーを知っている男はいないのではないか、と思わせるほどの人物で、数千もの食品メーカーを自分の足で回って知っている」(住氏)。またプランティオの代表・芹澤孝悦共同創業者・CEOはフードロスの問題や種子の継続性の問題に着目しており、「食にまつわる社会課題の解決というアクセラレーターの目的に合致していた」(住氏)。ビビッドガーデンの秋元里奈CEOは実家が農家であることから、「農産物の生産や流通に対する強い問題意識を持っている」(住氏)と評価する。
「小規模なベンチャー企業、特にスタートアップの場合は、その事業を立ち上げた経営トップの熱意が、事業の様々な面に反映される」(住氏)。
そうした熱意を受けてクックパッドの住氏が意識しているのは、採択した5社のベンチャー企業との「二人三脚」の活動姿勢だ。
住氏は自らの活動方針について「ハンズオン(直接参画)」と「一緒に住む」という2つのキーワードを掲げている。ベンチャー企業に対する支援の方法としては資金などのリソース投入、共同事業化、合併など複数の方法があるが、住氏は「単にリソースを投じたりするだけでは、チームとして一緒にやる意味がない」と語る。
例えば想定顧客への聞き取り調査や新サービスの設計時には、ベンチャー企業のメンバーだけでなく住氏も参加。クックパッドで実務に携わってきた視点から「ユーザーに刺さるポイント」が盛り込まれるようアドバイスした。「一緒に成功したいなら、リソースを出すだけでは意味がない。こちらも手を動かして汗をかく必要があるし、個人的にはそういうことが結構好きだ」(住氏)。
一緒に住むというのは、仕事机を同じフロアに置くことを指す。アドウェルとビビッドガーデンの2社はプログラム期間中、クックパッド社内にオフィスを置き、住氏と机を並べて仕事を進めた。「席が近ければ『どうしたいの?』と気軽に声をかけられる。これでベンチャー企業側のメンバーとの意思疎通が良くなり、機動性が高まった」(クックパッドの住氏)。