すでに先進的な企業では、副業解禁の動きが始まっています。ユニ・チャームと新生銀行は2018年4月から副業を解禁しました。ユニ・チャームでは入社4年以上の正社員が対象。新生銀行では、他社に従業員として雇用される形態も解禁と、より進んだ形になっています。ソフトバンクは2017年11月に、コニカミノルタも同年12月に解禁済みです。
いわば国策として副業・兼業の解禁がスタートしたわけですが、今後もこの流れは広がっていくと見られています。国と企業、従業員のそれぞれにメリットがあるからです。
国としては、日本の労働人口がどんどん減っていくなかで、労働力不足を副業・兼業によるワークシェアリングで補おうと考えています。企業は、従業員が外で働いて得た経験やノウハウを本業の付加価値として活かしてほしいというねらいがあります。また、ダイバーシティ(多様性)への対応や魅力的な人材の確保にもつながると見ています。
「卵はひとつのカゴに盛るな」の真意
企業の従業員が自分の資産形成のために副業を考えた場合、重要になるのは業種選びと働き方だと思われます。どんな仕事を、どのくらいの割合(時間)で働くのか。その決断には、少なくとも(1)現在の勤務先の副業受け入れ体制、(2)自分の能力(市場価値)、(3)家族の理解、(4)仕事を得る営業力――という4つの要素が欠かせないでしょう。
ここで筆者が気になっているのは、主に企業側が副業・兼業を「従業員が持っている能力をより伸ばす場やスキルアップとして」考えていること。そうすると、従業員は勤務先と競合しない企業で、現在の業務に関連性の高い、“近い仕事”を選ぶのが現実的になりそうです。
ところで、株式投資や資産運用の世界には「卵はひとつのカゴに盛るな」(Don't put all your eggs in one basket.)という格言があります。卵をひとつのカゴだけに盛ると、そのカゴを落としたら全部の卵が割れてしまう。でも複数のカゴに分けておけば、そのうちのひとつを落としても、他のカゴの卵は影響を受けずに済む――。