すなわち、古典的アジャイルは、「ソフトウエア開発」側からこの現状に対して異を唱えた、と言えるだろう。

リーン・スタートアップの登場

 アジャイル開発宣言から10年後の2011年、エリック・リースが『リーン・スタートアップ』を書いた。これは、米国シリコンバレーの現代的な「スタートアップ」という戦場の戦い方を科学的かつ体系的に書いたもので、アジャイルとビジネスをさらに密着させて理論構築している。

 スタートアップでは限られた「資金」を有効に使って、顧客開発と製品開発という2つの開発を行わなければならない。

『リーン・スタートアップ』には、この2つの活動を1つのループに入れ、「ニワトリ」と「タマゴ」を同時に成長させる手法が書かれている。

トリとタマゴを同時に成長させる

「IDEAS」(企画)を「CODE」(製品)にし、「DATA」(実データ)を取得し、そこから学んで次のアイデアを加える。図の右半分はアジャイル開発そのものであり、左側は、マーケティング、顧客開発である。

 このリーン・スタートアップの登場が、アジャイルを圧倒的にポピュラーにしたのだと筆者は思う。「開発者視点」で誕生したアジャイル開発が、明確な「ビジネス視点」で語られるようになったのだ(ただし、「スタートアップ」文脈ではあるが)。

 その後、リーン・スタートアップに関する、より実践的な書籍が多く出るようになり、(『Running Lean ―実践リーンスタートアップ』『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書』『リーン顧客開発 ―「売れないリスク」を極小化する技術』などなど)新規ビジネス開発の教科書として広く読まれるようになった。