多くの大企業が、「情報システム部門」や既存の「IT部門」とは別に、「イノベーション室」、BIT(Business IT)、「攻めのIT部門」などという形で既存、基幹のシステムのシステム開発とは切り離して、イノベーションを受け持つ部署を設置するようになった。そして、そこで「シリコンバレー流の」リーン・スタートアップを始めている。そこで行われているのは、デザイン思考とアジャイル開発なのだ。

(なお、現在、GEの失速はリーン活動のせいだという説が横行しているが、それについては改めて反論したい)

働き方としてのアジャイル

 ここにきて、アジャイルは単なる「開発手法」ではなくなった。それは、ビジネスを作る「人の活動」の総体である。組織の垣根を超え、顧客と会話をし、イノベーションを作り出し、世界を変える。そんな活動全体としての、アジャイルが浮かび上がってくる。

 リチャード・シェリダンの著書『ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント』で語られるのも、そういった自由で垣根のない会社体だ。心理的安全性の中でアイデアを出し合える環境、職場の雰囲気づくり、サーバントリーダシップと自律したチーム──。そんな働き方もイノベーションの達成に大きく関係しているのだ。

 次回は、日本独自の課題について、触れたいと思う。(つづく)

第1回「企画と開発が責任を押し付け合う会社の前途は暗い」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51448
第3回「ビジネスに追いつけない日本のシステム開発の構造欠陥」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52025
第4回「企業内イノベーションの実現に向けた7つの提言」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52264
第5回「一挙に紹介、アジャイルとDXを支援する日本の組織」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52519