真のIoT実現に足りなかったピースが「通信」

具体的に、ソラコムはどのようなサービスを提供することにしたのか。玉川氏はこう語る。

「IoTを具体化するには、通信部分に足りないピースがありました。IoTデバイスがデータを収集し、データベースやストレージに格納するとき、どうやってデータを送るかです。SORACOMは、IoT通信に加え、データを送るために必要なデータ変換やクラウド連携、セキュリティ強化などのサービスを通信経路上で提供しようと考えたのです」

2015年9月のサービス提供開始時には、NTTドコモのMVNO(仮想移動体通信事業者)としてモバイル通信サービス「SORACOM Air」、データ転送支援サービス「SORACOM Beam」を用意した。

サービスを利用する際に必要なSIMはAmazon.co.jpで1枚単位から購入が可能で、1日当たり10円からの従量制という料金設定は大きな反響を呼んだ。通信サービスの核となるパケット交換機能などのプラットフォームはAWS上に実装し、信頼性と拡張性も確保した。玉川氏が思い描いた「IoT通信の民主化」の姿の一端が、具現化されたものだった。

その後も2年余りの間に次々と策を打った。通信機能としては、NTTドコモの回線を利用するセルラー通信だけでなく、低消費電力で広域の通信が可能なLPWA(Low Power Wide Area)方式も採用。LoRaWAN 方式を使う「SORACOM Air for LoRaWAN」とSigfox方式を使う「SORACOM Air for Sigfox」をラインアップに加えた。

企業がビジネスでIoTを展開するときに求められるセキュリティレベルに対応するため、専用線で接続する「SORACOM Direct」を提供。大量のデバイスを管理するための「SORACOM Inventory」も、実際の顧客からの要望に応えて今年7月に提供を開始した。

「IoTプラットフォームに必要な機能やサービスは、実際に利用するお客さまに教えていただいていると感じています。開発は2週間に1回のサイクルで進めて、優先順位の高いものから早期開発しています。実際、2年で新サービスが10以上、新機能は40以上、提供しました。もちろん、ムダなものは作らないように心がけています。共通プラットフォームのあるべき姿を考え、真摯に開発に向き合っているつもりです」