さまざまな分野でドローン活用の拡大が期待されており、MM総研が2017年1月に発表した「ドローン国内市場規模調査」によれば、2021年度における国内のドローン市場規模は1,676億円に拡大すると見込まれている。
また、矢野経済研究所が行なったドローン世界市場の調査によれば、2020年には世界のドローン市場は2兆2,814億円まで拡大すると予測している。
国内外で市場規模の拡大が見込まれているが、ドローンと聞いてまず思い浮かぶのが世界シェア7割とも言われている中国の「DJI」や、フランスの「Parrot」アメリカの「3D Robotics」などではないだろうか。それらと比べると一般の消費者が日本製のドローンを目にする機会はほとんどない。
これだけの市場規模拡大が見込まれるドローン市場で、日本が世界に対して存在感を示すために必要なのは何か。ドローン・ジャパン取締役会長の春原久徳氏(以下、春原氏)に話を伺った。
日本におけるドローンが世界に出遅れている理由
先述のように、消費者が国産ドローンを見かけることは多くない。「かつてはDJI製品も部品の半数以上は日本製を使っていましたが、今となってはほとんどが自国の物を使っています。日本製の部品が海外製のドローンに使われているとしてもほんの数パーセントほどでしょう。」と春原氏が言うように部品単位でも世界から必要とされていない。
「DJIの代表作Phantomシリーズも『Phantom2』くらいまでは全くと言っていいほど、(ドローンとして)使えなかったんです。しかし、改善を行なっていくことで『Phantom3』くらいから素晴らしい製品になりました。」と春原氏。
日本で製品を作るとなった場合、ドローンに限らず完成度の高い製品を作り出すことに重きを置くことが多い。しかし移り変わりの早いこの時代では、オーバースペックとも言えるような“いずれ使える物”よりも最低限の性能を備えた“明日使える物”を作ることが求められるため、日本の慣習とは合っていないようだ。
また出荷量を考えた場合、PCが1,000万台出ているとしたら、日本のドローンはよくても8〜9万台しか出ていないというスケール感。売上台数をそれほど多くは見込めない。
国産ドローンを作ろうとしても、これらが障壁となるため、ハード産業としてのドローンビジネスで活路を見出すのは難しいだろう。