USTR代表にロン・カーク氏、労働長官にヒルダ・ソリス氏起用へ 米次期政権

USTR代表のロン・カーク氏〔AFPBB News

 米中貿易摩擦が新たな段階に入りつつある。5月2日、USTR(米通商代表部)は米国の知的財産権侵害に関する報告書を発表した。同日からワシントンでは北京の米商工会議所が対中貿易問題に関する大きなイベントを4日間にわたり開催するという。

 いずれも5月9~10日に開かれるS&ED(米中戦略・経済対話)に向けた一種のデモンストレーションだと考えれば分かりやすい。

 今回は改めて、強大化する「中国株式会社」と深刻化する米中経済摩擦の現状について考えてみたい。

知的財産権侵害

 「目に見えない非関税障壁が国内企業を保護するビジネス環境を維持し、競争力のある外国製品の国内市場への自由な流れを制限している」「特に、裁判所が特許権侵害を条文通り狭く解釈するため、政府による知的財産権保護が不適切となっている」

 ここで批判されているのは中国ではなく、日本だ。1996年4月26日に当時のUSTRが発表した米国貿易報告書(1996 National Trade Estimate Report)の一部である。主な批判対象は日本であり、同報告書では日本関連に40ページ近くも割かれていた。

 あれから15年、今年5月2日にUSTRが発表した「包括通商法特別301条(知的財産権)に基づく年次報告書」に日本に関する批判はほとんどない。むしろ米国に協力的な諸国の1つとして言及されているほどだ。

 同報告書は、米国が特に問題視する知的財産権侵害国(優先監視国リスト、Priority Watch List)を12カ国挙げ、その筆頭として中国を厳しく非難している。ちなみに、中国以外ではロシア、インドなどの新興国に加え、イスラエルとカナダが含まれている。