カリフォルニア州にあるヒューレットパッカードのオフィス(写真:ロイター/アフロ)

 米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)は12月1日、本社を米シリコンバレーから米テキサス州ヒューストンに移すと明らかにした

HP、シリコンバーレーの起源と繁栄を象徴

 現在、新本社を建設中だという。完成後は、ヒューストンが同社最大の雇用拠点になるとしている。声明で「ヒューストンは多様な才能を採用できる魅力的なマーケットだ」と述べた。

 また、本社移転後も、現本社屋を残し、ベイエリア(サンフランシスコとシリコンバレーを合わせた地域)にある各拠点をそこに集約するという。

 HPEの前身である米ヒューレット・パッカードは、ビル・ヒューレット氏とデービッド・パッカード氏が1939年にカリフォルニア州パロアルトに設立した。電気・電子計測器メーカーとして創業したが、1980年代にコンピューター分野に進出。2002年には米コンパックコンピュータを買収し、パソコン事業で世界1位になった。

 ヒューレット・パッカードは2015年にパソコン・プリンター事業のHPと法人向けサーバーやITサービス事業のHPEに分離した。だが、2社は前身企業の創業以来、80年以上にわたりシリコンバレーを本拠地としてきた。

 米ウォール・ストリート・ジャーナル米CNBCによると、ヒューレット・パッカードはシリコンバレーの起源と繁栄を象徴する企業であり、サクセス・ストーリーの1つ。その流れをくむHPEがこの地から離れることの意味は大きいという。

 パソコン・プリンター事業のHPはパロアルトに残るものの、ウォール・ストリート・ジャーナルは「かつてイノベーションの代名詞だったシリコンバレーは、その輝きを失いつつあるのかもしれない」と報じている。