2020年8月24日、共和党全国委員会でのトランプ大統領

 米フェイスブック(FB)が、今年11月の米大統領選挙で想定される混乱を回避するために、緊急時対策を準備していると、米ニューヨーク・タイムズロイターが報じた。

「強制停止スイッチ」を検討

 フェイスブックは次のようなシナリオを想定し、その対処法を準備してリハーサルも行っているという。

 (1)トランプ米大統領本人とその選挙陣営が敗北を認めず、投票結果の正当性を否定する目的でFacebookなどの同社サービス上に多数の偽情報を投稿

 (2)敗北したにもかかわらず、トランプ氏がサービス上で勝利宣言し、次の4年間の米大統領は自分だと主張

 (3)トランプ陣営が「郵政公社が大量の郵便票を紛失した」、あるいは「組織が干渉した」と主張し、選挙結果を無効にしようとする運動をサービス上で展開

 フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)と同社の幹部らは最近、こうした事態による影響をいかに最小限にとどめるかを検討する会議を毎日開いている。投票日直後に政治広告を一時遮断する「強制停止スイッチ」についても話し合われていると、関係者は述べている。

フェイスブックも政治家の投稿に注意喚起のラベル

 Facebookなどの同社サービス上の政治家の発言について、ザッカーバーグCEOはかねて、その是非を同社が判断すべきでないとの方針を示していた。

 今年5月、米経済ニュースのCNBCに意見を求められた同氏は「SNSの運営企業は真偽の審判者になるべきではない」と表明。「政治的な発言は民主主義社会において最も慎重に扱うべきものの1つ。政治家のメッセージは皆が見られるようにすべき」と述べていた。