米アップルの「アイパッド(iPad)」が発売されたのは昨年の4月。あれから1年が経ち、今ではすっかりタブレット型コンピューターという地位が確立した。しかしこのアイパッドの登場によってパソコン市場は様変わりし、台湾のパソコンメーカーが大きな影響を受けている――。米ブルームバーグこうした記事を掲載している。

世界PC出荷20%増 台湾・中国メーカーがシェア伸ばす

急成長を遂げた台湾のパソコンメーカーが大きな影響を受けているという(写真は「2010台北国際コンピューター見本市」の会場内の様子)〔AFPBB News

 記事はこんな風に、少し辛辣な表現で始まる。

 「台湾企業は常に単純な戦略を用いて世界のエレクトロニクス業界のトップの座に就いてきた。『いろいろ手を尽くして駄目なら、価格を下げればよい』という戦略だ。エイサー(宏碁電脳)やアスーステック・コンピューター(華碩電腦)は、ネットブックと呼ばれる低価格ノートパソコンで米国のライバルメーカーを押しのけてきた」

 「2010年の初め、アスーステックは出荷台数で世界第5位のパソコンメーカーになった。エイサーに至っては米大手のデルを抜き、世界第2位の地位を獲得。首位の米ヒューレット・パッカード(HP)を抜くのは時間の問題だと豪語していた」

エイサーのCEOが辞任

 しかし今となってはその戦略は通用しなくっているという。

 エイサーでは今年3月末、最高経営責任者(CEO)兼社長を務めていたジャンフランコ・ランチ氏が辞任した。経営戦略を巡って取締役会の大半と意見が合わなかったと同社は説明したが、米ウォールストリート・ジャーナルなどの海外メディアは、業績予想の下方修正も余儀なくされるなど、同社は厳しい状況に立たされていると報じた。

 その最大の理由はアップルのスティーブ・ジョブズCEOとアイパッドだとブルームバーグの記事は言っている。「ネットブックはアイパッドの登場によって、消費者を魅了できなくなり、競争力を失った」というのだ。