米アップルが、新型タブレット端末「アイパッド2(iPad 2)」の日本での発売を延期すると米欧のメディアが報じている。

 アップルは今のところ正式発表を行っていないが、米ブルームバーグによると、広報担当のナタリー・ケリス氏が電話インタビューに応じ、「今は日本と当社のスタッフが復旧に力を注いでいる時期。その間アイパッド2の発売を遅らせる」「この恐ろしい悲劇に見舞われたスタッフとその家族を含む日本の人々に心からお見舞いを申し上げます」と述べたという。

アップルの社員、被災者救済に協力

「iPad 2」、軽量・高速に ジョブズ氏自ら発表

スティーブ・ジョブズ氏が自ら登壇して発表した「iPad 2」。日本では3月25日に発売される予定だった〔AFPBB News

 また米ニューヨーク・タイムズは、復旧への努力が続いている間、アップルは日本に関するすべてのイベントを無期限で延期すると伝えている。

 一方米ウォールストリート・ジャーナルは、アップルの日本のスタッフは現在被災者の救済に協力しており、パソコンや携帯電話のバッテリー充電や無料のインターネットアクセスを提供し、連絡が取れなくなった人々の助けになろうとしていると報じている。

 アイパッド2は米国で3月11日に販売を開始しており、同社は米国に続き、日本を含む世界26カ国で3月25日に発売するとしていた。

 ブルームバーグは、アップルは日本での新たな発売予定日を明らかにしていないと伝えている。

日本は重要な市場、伸び率は米大陸よりも高く

 アップルにとって日本は重要な市場で、今回の震災が同社に及ぼす影響は小さくないようだ。同社の直営店は日本に7つあり、マック(マッキントッシュ)パソコンも売れている。昨年10~12月期の日本における売り上げは前年から83%増えており、米大陸や欧州の伸び率(51%と44%)を上回っている。

 アップルの動向に詳しい米調査会社パイファー・ジャフリーのジーン・マンスター氏によると、今回の震災に伴って今年1~3月期の同社の売り上げは2億200万ドル減少するという。もし4~6月期のうち1カ月半程度日本からの収益がなくなれば、四半期売り上げは5億6300万ドル減ると同氏は見ている。

 なお、米国でアイパッド2は順調に売れているようだ。ジーン・マンスター氏は13日までに40万~50万台が売れたと見積もっている。