米ワーナー・ブラザースが、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「フェイスブック(Facebook)」内で映画の配信を始めると発表して話題になっている。配信するのは2008年に劇場公開したバットマンシリーズの「ダークナイト」。視聴料金3ドルという有料のサービスだ。
まだ実験にすぎないがほかの映画会社もこの動きに追随すれば、SNSが米ネットフリックス(Netflix)や米アップルの「アイチューンズ(iTunes)」などの大手ストリーミングサービスを脅かすことになると米ニューヨーク・タイムズや米ウォールストリート・ジャーナルが報じている。
ウェブアプリケーションの仕組みを利用
フェイスブックには、外部の開発者が自分が作ったウェブアプリケーションをサービス内で公開できる仕組みがある。
ユーザー同士の交流を目的としたツールやゲームなど、ソーシャルネットワークの特徴を生かした様々なアプリケーションが公開されており、ユーザーは自分のページに好きなものを追加して楽しめる。
ワーナー・ブラザースはこの仕組みを利用してレンタルアプリケーションを独自に作った。またフェイスブックには「クレジット(ポイント)」と呼ぶ仮想通貨があり、これは主にゲーム内でアイテムを購入するために使われている。
フェイスブックは昨年この仮想通貨のプリペイドカードをウォルマートなどの量販店で発売し、今年に入ると仮想通貨をすべてのアプリケーション開発者に開放している。ワーナー・ブラザースはこうした仕組みを利用した第1号の大手メディアなのだ。
仮想通貨を様々なデジタルコンテンツの決済に
そしてこのワーナーの動きは、フェイスブック内で映画配信が始まったということよりも、その仮想通貨がゲーム内のアイテムだけでなく、様々なデジタルコンテンツの決済に使えることが示されたという点で意味が大きいとニューヨーク・タイムズは伝えている。
フェイスブックには、仮想通貨の取引が行われるごとに30%の手数料が入る。既に同社の仮想通貨を使ったことのあるユーザーは数百万に上り、これが今後増え続ければ同社には新たな収益の柱ができることになる。