2月11日夜、エジプトのホスニ・ムバラク大統領があっけなく「退陣」した。軍はエジプト国民に発砲することなく、独裁者ムバラク一派という「がん細胞」を除去した。このニュースを中国共産党指導部はいかに受け止めたのだろうか。これが今回のテーマである。
「ムバラクは甘い」「天安門事件のように徹底的に弾圧すべきだった」のか、それとも、「民主化は不可避かもしれない」「解放軍が再び国民に銃口を向ければ共産党に未来はない」と考えるのか。今回も中国政府に代わって勝手に答えてみよう。
ムバラク退陣:中国官民の反応
2月12日、中国外交部報道局長は、「中国は一貫して事態の推移を注視してきた」としつつ、ムバラク退陣後のエジプト情勢について、「国家の安定と正常な秩序の早期回復につながることを希望する」と述べたそうだ。
また、同日午前、新華社通信も「国際社会は平和的な政権移行を求めている」と配信した。さらにほぼ同時期、劉志軍鉄道部長が「重大な規律違反」、すなわち汚職で更迭されている。
さすがは中国だ。打つべき手はちゃんと打っている。まるで他人事のように素っ気ないこれらの発表の行間には、中東の大規模デモが国内へ波及することを望まない中国政府の強い危機感が見え隠れする。
もちろん、「民」の方も敏感に反応した。報道によれば、エジプト情勢に関する様々なコメントと中国政府批判が、ネット上に書き込まれては直ちに削除されているそうだ。例えば、次のようなものである。
●勇敢なエジプトの人たちに敬意を表す
●私たちにも早くこのような日が来ることを待ち望んでいる
●独裁が倒れる! 次は中国の番だ!
●エジプト軍は発砲しなかった、彼らは(天安門事件で発砲した中国軍とは違う)「人民の軍隊」だ
中国の若者の気持ちも分からないではないが、エジプト軍が発砲しなかったのは「人民のため」を思ったからだけではない。まあ、何とナイーブな人たちなのだろう。