今回は中国の「殲20」戦闘機の話をしよう。「殲20」とは現在試作中の第5世代ステルス型戦闘機。1月11日の胡錦濤総書記とロバート・ゲーツ米国防長官との会談直前に試作機の初飛行が「公開」され、俄然注目を集めた例の「殲20」である。

 ゲーツ訪中の政治的背景については既に書かせてもらったので、ここでは繰り返さない。今筆者が最も関心を持っているのは、兵器としての「殲20」の性能に関する中国メディアのちょっと奇妙な報道ぶりである。典型例を幾つかご紹介しよう。

殲20を誇示する中国

「米国のステルス技術盗用」説に中国紙が反論

四川省成都で試験飛行する「殲20」〔AFPBB News

●殲20が米国のF22に対抗でき、攻撃力がより高く、中国周辺の米空母や在日・在韓米軍基地を重大な脅威に晒すといった憶測は冷戦時代の思考に過ぎない。

●他方、殲20は単なる技術実証機に過ぎず、ステルス性、新型エンジンなどない「ステルス戦闘機の外観を持つ殻だけ」といった批判は殲20を恐れる証拠である。

●殲20は2015~18年までに、基本的に中国空軍に加わることになる。中国が重大な軍事的脅威に直面する場合などには、(時期が)やや早まるかもしれない。

●米国は殲20のテスト飛行後、様々な国際世論を誘導して、「中国のハイテク軍事技術はみなスパイ活動によるもの」というイメージを作り上げようとしている。

 いずれも、殲20の高性能ぶりを誇示しつつ、同機が中国独自の技術であると強調している。単なるプロパガンダに過ぎないのか、それとも、本当にF22に匹敵する第5世代(中国では第4世代と呼ぶ)の戦闘能力があるのだろうか。

中国空母のビデオも流出

 中国側による最新兵器情報のリークはこれだけではない。1月31日付ウォールストリート・ジャーナルによれば、殲20初飛行の「リーク」から2週間後の1月28日、中国海軍初の空母「施琅Shi Lang」を映したビデオがネット上に流出したらしい

 初の空母といっても、実態は1998年に中国がウクライナから購入した空母「バリヤーグ」に様々な艤装工事を施した「再生品」だ。米国防総省筋によれば、今年か来年にも就役すると見られていたようである。