南北が閣僚級会談、米朝首脳会談へ向け「ムード醸成」

板門店で開かれた南北閣僚級会談で、握手を交わす趙明均(チョ・ミョンギュン)韓国統一相(右)と北朝鮮・祖国平和統一委員会(CPRK)の李善権(リ・ソングォン)委員長(2018年6月1日撮影)。(c) AFP PHOTO / YONHAP〔AFPBB News

 米朝首脳会談が予定どおりに実現してもしなくても、朝鮮半島情勢の激変は続くだろう。朝鮮半島と米国との関係も大きく変化していくとみられる。北朝鮮はこれからどうなるのか。

 南北の和解から「統一」へという可能性が生まれるのか。米韓同盟の解消もあるのか。こうした変化の展望のなかで、わが日本の国家安全保障はどうなるのか。米朝会談の開催の展望を機に、真剣に考えるべきである。

 日本の近代の国運は朝鮮半島の情勢と米国の動向に左右されてきた。近代史をみればそれは明らかである。日清、日露の両戦争とも、朝鮮半島の混乱が契機となった。この2つの戦争の結果は明治から昭和への日本の進路を大きく変えることとなった。

 米国との関係も日本の根幹を左右した。日米戦争での敗北と、その後の米国による日本の新憲法作成などの大変革、占領、そして日米安保条約の締結と、戦後の日本のあり方は米国との関わりが最大の決定要因の1つとなってきた。いまの日本の立ち位置も米国との関係抜きには考えにくい。朝鮮半島と米国はそれほどに日本にとっては巨大な存在なのだ。

 その朝鮮半島と米国の両方が、安全保障の根幹部分で変化の予兆をみせ始めた。日本としても、その地殻的変化の兆しに備えねばならないことは明白である。朝鮮半島と、米国の朝鮮半島への関与にこれからどんな変化が起き得るのか、それぞれのシナリオに日本はどう備えるべきか考える時期であろう。