主要なテレビチャンネルがいきなり4つ5つも増えたらどうなるか? 広告主はどう対応するのか。タレントや脚本家の争奪戦が起きることは間違いない。そもそも、きちんとした番組が毎日制作できるのか?

 もっと本質的な疑問も残る。5社もの新規参入組が、経営を軌道に乗せられるのかだ。

2010年末に韓国政府が5つのテレビ事業者を認可

 韓国政府は2010年12月31日、5つのテレビ放送事業者の新規参入を認めた。年末最後の日にこんな重要な決定を発表するのも、一度に5つの放送事業者を選定したのも異例だが、もっと異例なことは、新規参入が決まったのがすべて大手新聞社と通信社系の放送局だったことだ。

 韓国で、放送局と新聞・通信社を巻き込んだメディア大競争の幕が切って落とされた。

 韓国の放送通信委員会がこの日、選定したのは、CATV向けなどに番組を供給する放送会社で、娯楽、スポーツ、報道など全ジャンルの番組を編成できる「総合編成チャンネル」4社と報道専門チャンネル1社。

 今回、4局が選定された「総合編成チャンネル」は、韓国の放送業界で大きな影響力を持つだろう。

 その理由は、韓国ではCATVの世帯普及率が90%前後と高いことだ。CATV向け番組供給会社とはいえ、視聴者へのアクセスという点では地上波放送と全く変わらないのだ。

 韓国では、総合編成が認められているのは、地上波放送3局の4チャンネルだけだった。ほかのCATV向け番組供給会社はすべて映画やスポーツなど専門チャンネルだった。

 CATV向けの「総合編成チャンネル」というのは、メジャーの地上波放送チャンネル並みの影響力を持つテレビ局を意味するのだ。

 この「総合編成チャンネル」事業者には、朝鮮日報、中央日報、東亜日報、毎日経済新聞が率いる4社、ニュースや教養番組に特化する「報道専門チャンネル」事業者には、聯合ニュースが選定された。