イタリア政府、新任の北朝鮮大使を国外退去処分へ

北朝鮮・平壌で行われた軍事パレードで掲げられた国旗(2012年4月15日撮影)。(c)AFP/Ed Jones〔AFPBB News

 北朝鮮のアキレス腱はエネルギーにある。多くの人がそう思うから、石油の禁輸が話題に上る。戦前の日本を見るまでもなく、軍艦、飛行機、戦車を動かすには石油が必要だから、石油の禁輸は制裁として有効な手段である。

 ただ、マスコミの報道を聞いても北朝鮮のエネルギー事情は今一つよく分からない。前回、「ミサイル開発の一方で、暗くて寒い北朝鮮の暮らし」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51075)と題して、地方に住む人々が燃料を得るために山の木を伐採することによって森林面積が急減していることを述べたが、ここでは北朝鮮のエネルギー事情をより総合的に眺めてみたい。

エネルギー消費量が急速に減少

 IEA(International Energy Agency: 国際エネルギー機関)が公表するデータを紹介するが、データを見る限り北朝鮮は危機的な状況にある。

 図1に工業、輸送、その他(民生用)に分けたエネルギー消費量を示す。北朝鮮のエネルギー消費量は急速に減少している。

 このようにエネルギー消費量が大きく減少している国は世界中どこにもない。北朝鮮と同様に共産党独裁が続く国にベトナムがあるが、ベトナムの2015年のエネルギー消費量は1990年の3.4倍にもなっている。

図1 北朝鮮の部門別エネルギー消費量
単位:100万トン(石油換算)、出典:IEA