今週は「人民元問題」の続報を書こうと準備していたら、11月23日午後、北朝鮮による韓国・延坪島砲撃事件が発生した。
韓国巡視船・天安号撃沈、金正恩デビュー、ウラン濃縮施設公開に続き、今度は韓国民間人にまで被害が及んだ。
明らかに最近の北朝鮮の行動は異様である。
日米韓政府はここぞとばかり、「中国の役割が重要だ」と口を揃えるが、中国側にとっては実に迷惑な話に違いない。そこで今回は、人民元問題を来週以降に回し、中国・胡錦濤政権から見える「北朝鮮問題」について改めて考えてみたい(文中敬称略)。
朝鮮戦争と中国
まずは歴史のおさらいに付き合ってほしい。
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は、中国(中華人民共和国)建国以来一貫して中国にとり最も重要な東方の緩衝国だった。
1950年1月、ディーン・アチソン米国務長官の不用意な発言を誤解した金日成は、6月25日突如韓国に侵攻を始める。この侵攻は中国も事前に容認していたと言われる。
10月に入り国連軍が優勢になるのを見て、中国は100万人もの「中国人民志願軍」を朝鮮半島に投入し、北上する国連軍との戦闘を開始した。
その後戦局は膠着状態となり、1952年には実質的に停戦が成立、1953年7月には休戦協定が結ばれて、3年続いた戦闘はとりあえず終結した。
志願軍投入を最も強く主張したのは毛沢東であり、林彪ら人民解放軍幹部は「旧式の武器では米軍に対するに勝ち目はない」として参戦には消極的だったらしい。
また、「志願軍」兵士は緒戦こそ優勢に戦ったものの、その戦いぶりは人命を全く顧みない「人海戦術」だったと言われる。