米アマゾン・ドットコムが電子書籍コンテンツの販売でまた新たな施策を打ち出した。11月9日、電子書籍配信サービス「キンドルストア(Kindle Store)」で販売している新聞や雑誌の電子版について、出版社などに支払うロイヤルティの料率を70%に引き上げると発表した。
キンドルを持たないユーザーに向けて
同社は従来の料率について明らかにしていないが、米ニューヨーク・タイムズによると、これまではおよそ30%を支払っていた。
こうして出版社の取り分を大幅に引き上げるのは、他社の電子書籍リーダーや電子書籍配信サービスとの競争が激化していることが背景にあると同紙は伝えている。
アマゾンはこれに先だって、新聞や雑誌の電子版を他社モバイル端末向けのキンドルアプリにも配信すると発表していた。
ユーザーはこれまで同社の電子書籍リーダー端末「キンドル(Kindle)」を持っていなければ新聞などの定期刊行物を購読することができなかったが、今後は無料配布されているキンドルアプリをスマートフォンなどにダウンロードすれば可能になる。
こうしたアマゾンの施策は、同社が電子書籍市場において端末そのものよりもコンテンツの品揃えを重視していることを示していると前述のニューヨーク・タイムズは伝えている。
現在、大手の新聞社や出版社は、米アップルのモバイル端末向けに定期購読アプリを配信している。そのアップルが定めるロイヤルティの料率は70%。
今回アマゾンはこれに合わせて料率を改定した。出版社に従来よりも良い条件を提示しコンテンツを拡充するのが狙いだ。