フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の10月15日付に、目を疑うような写真が載っていた。

 APが配信したその写真は、中国、河南省許昌市で10月12日、はるばる地球の裏側からやって来たブラジルのバスケットボール・ナショナル・チームが中国代表と親善試合に臨んだ際、激しい殴り合いになったことを伝えていた。

中国チームは1カ月の練習停止処分に

問題の乱闘を取り上げた10月15日付のフィナンシャル・タイムズ紙

 写真についた題名は、「Basket-brawl」という。brawlとは、公衆の面前で大喧嘩をすることで、basketballとシャレになっている。その呼び名で、事件はすぐさま世界に広まった。

 また写真の解説は、中国ナショナル・チームが1カ月の練習停止処分になったと書いてある。ということは、中国側に明らかな非があったのだろう。

 調べてみると、中国バスケットボール協会は非を認めて謝らざるを得なかった事実が確かにあった。

 この出来事は日本でニュースにならなかった。10月20日午前現在、日本でこれに関してなされた報道は、「FujiSankei Business i」が10月15日に伝えた以下の1例にとどまる。

 「13日の中国中央テレビによると、中国河南省許昌市で12日夜に行われた中国とブラジルのバスケットボールの試合で、両チームの選手が乱闘になる騒ぎがあった。中国バスケットボール協会の李金生副主席は13日、協会を代表してファン、メディア、ブラジルチーム、関係各方面におわびした。(RP=東京)」(RPはラヂオプレス)

 テレビ局関係者に確かめたところ、14日時点でCNNなどが配信していた。けれどもどの局も、映像を流さなかった。

 レガシー・メディアが無視する中、「2ちゃんねる」は直ちに取り上げたから、筆者の知るところではスマート・フォンでいろいろ情報を取る若い層の間には少なからず知られていた。このことの意味合いは後に触れる。