今回は、独自の解釈によるアーバンなソウル/ファンクを取り入れた日本のインディペンデントなポップバンドを紹介します(写真はイメージ)

 大晦日の紅白歌合戦は事情があって後半戦からしか見られなかったのですが、石川さゆり「津軽海峡・冬景色」、レベッカ「フレンズ」、高橋真理子「五番街のマリーへ」、近藤真彦「ギンギラギンにさりげなく」、松田聖子「赤いスイートピー」など、幼少の頃に1980年代のテレビ歌番組を夢中になって見て育ったベストテン世代としては、当時からの30年近くの時の流れを振り返るという、ちょっとセンチメンタルでノスタルジックな思いとともにとっても楽しめる内容でした。

 それで、椎名林檎「長く短い祭り~ここは天国か地獄か篇」の冒頭にエレクトリックギター片手の虚無僧みたいな人が出てきて、これは元「ナンバーガール」、現「ZAZEN BOYS」の向井秀徳くんという友人で、ああ、友人が国民的TV番組に登場するようになったんだな~となんだか感慨深い思いになったんですが、続く椎名林檎の妖艶なる素晴らしきパフォーマンスにすっかり魅せられたと同時に、まるで戦前の粋な遊び人って感じの和服にハット姿で飄々とした態度でデュエットしている「浮雲」と名乗る男性シンガーのパフォーマンスにも、すっかり魅せられてしまいました。

本コラムは音楽レビューサイトMikikiとのコラボレーション記事です

 この浮雲さん、実は椎名林檎がソロ活動を再開する前に活動していたバンド「東京事変」のギタリストを務め、同バンドの曲作りも担当していたのですが、本当の姿は長岡亮介というヴォーカリスト/ギタリストで、知る人ぞ知る孤高の3ピース・バンド「ペトロールズ」を率いて活動しています。

 そのペトロールズが活動10周年を迎えた2015年、初のアルバム『Renaissance』を発表しました。それがあまりにも素晴らしい内容だったので、今回はその作品を中心に現在の東京インディーズシーンでアーバンなソウル/ファンクをベースにした独自の洗練されたポップスを聞かせてくれるバンドを紹介します。