先頃、最高経営責任者(CEO)の交代を発表したばかりのフィンランド・ノキアだが、今度はスマートフォン部門の責任者や会長までもが辞任の意向を明らかにした。
同社がCEOの交代を発表したのは9月10日。米マイクロソフトの主力製品「オフィススイート」部門の責任者ステファン・エロップ氏が9月21日付でノキアのCEO兼社長に就任することが明らかになった。
これに伴いオリペッカ・カラスブオ現CEOが、スマートフォンなど高機能端末分野の業績不振の責任を取る形で退任することになっているが、今度はその人事を決めたヨルマ・オリラ会長が2012年の春に引退することを表明した。
これが明らかになったのは同社のイベントの開幕日。250以上の新機能を搭載したという新OS「シンビアン3(Symbian^3)」を引っ提げて、主力端末「N8」やビジネス向け端末「E7」などを披露するイベントだ。
折しも同社スマートフォン戦略の再出発を記念すべき日に、経営トップの相次ぐ辞任が明らかになったと米ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
アイフォーンの登場で戦略に誤算
ヨルマ・オリラ氏が同社の会長に就任したのは2006年。1992年からそれまでの14年間はCEOとして合理化を進め、電子機器の複合企業だった同社を電気通信分野に注力させ、世界最大の携帯電話機メーカーに育て上げた。
2006年にはオリペッカ・カラスブオ氏がCEOに就任したが、この頃から同社の戦略にほころびが出始めた。
米アップルが2007年に「アイフォーン(iPhone)」を発売し、音楽配信や、端末にダウンロードして様々なサービスを追加できるアプリの仕組みを導入したことで、新しい価値を持った携帯端末として消費者市場に受け入れられた。