「あのアップルがついに規制当局の圧力に屈した」――。9月9日、米欧のメディアが一斉にこう報じた。
この日アップルがスマートフォン「アイフォーン(iPhone)」やタブレット端末「アイパッド(iPad)」などのアプリ開発に関するライセンス規約を緩和すると発表した。
当局がアップル提訴の準備
アップルが社外の開発者にアプリの開発、販売、配布を許可しているライセンス契約は厳しい規制が設けられていることで有名。
同社は公序良俗に反するアプリやコンテンツを排除することなどが目的としているが、米グーグルや米アドビシステムズなどは、競合の技術やコンテンツを排除する行為だとして非難していた。
英フィナンシャル・タイムズは9日付の記事で、こうした企業の働きかけで米連邦取引委員会(FTC)が調査しており、アップルを提訴する準備をしていたと伝えている。
9日にアップルが発表した改定事項は、ある一定の条件をクリアすれば開発者は自由に好みの開発ツールを利用できるというもの。またアプリ内広告についても制限を緩めており、これまでと180度違う方針に驚きの声が上がっていると米メディアが伝えている。
他社の開発ツールや広告を締め出し
アップルは今年4月、アイフォーンなどのモバイル端末向けの基本ソフト(OS)「アイオーエス(iOS)」をリリースしたが、その際にアプリ開発を行うソフトウエアツールの利用に制限を設けた。
そもそもアップルは同OSを、アドビの動画コンテンツ作成・再生技術「フラッシュ(Flash)」に対応させておらず、そのことも議論を呼んでいるのだが、この時アップルは、フラッシュコンテンツをアイフォーン向けに作り替えることができるアドビのソフトの使用を禁止した。
さらにアップルは、同OS上で展開するアプリ内広告「アイアド(iAd)」についても制限を加えた。