フランスの新学年は9月から。つまり、今がちょうど日本の4月初めのような時期に当たる。初登園の幼稚園の門の前で泣く子供、学用品をいかに安く調達するか苦心する親たちといった話題は、この時期恒例のニュースだ。
世界遺産に指定された町にコンテナで作った学生寮が登場
海から見たル・アーヴル。左にそびえている塔がサン・ジョセフ教会そんな中、一風変わった新生活の風景として、なんと、コンテナでできた学生寮がオープンしたという。
場所はノルマンディー地方のル・アーヴル。パリから特急で西に2時間ほど行ったところにある大西洋岸の都市である。
ここにはフランスでも1、2を争う貿易港があり、セーヌ河の河口の町という性格から、首都パリと世界をつなぐ水上輸送の拠点として、昔から大変重要な役目を果たしてきた。
ル・アーヴルの近代建築群を象徴するサン・ジェゼフ教会。オーギュスト・ペレの設計。塔の高さは109メートル また、建築に詳しい人ならご存じかもしれないが、その近代建築群の存在によって、ユネスコの世界遺産にも指定されている。
というのも、この町は第2次世界大戦で大規模な爆撃を受けるという災禍に見舞われており、当時の様子をとらえた写真などは、まるで大空襲の後の東京の眺めを彷彿させるものがある。
その壊滅的被害の跡にできたのが、現在のル・アーヴルの海沿いの部分で、当時の新技術、鉄筋コンクリートを駆使した未来的な都市景観が出現したのである。
それから半世紀以上経った今、コンクリート草創期の建築群は、当初の目新しさも、次いで少々の時代遅れ感も超越して、歴史的な価値を認められているというわけなのだ。
ル・アーヴル港に停泊中のコンテナ船 前置きが長くなった。肝心のコンテナ学生寮に話を戻そう。案内してくれたのは、ティエリー・カプロン氏。フランスの大学区ごとに存在する学生厚生センター「CROUS(クルス)」で、住居関連の部署のディレクターを務めている。
彼の運転する車で市内中心部から向かったのは、コンビナートや倉庫群などが立ち並ぶ、広大なルーアン港のふところに当たる地域。そして、1つの倉庫の前で彼は車を停めた。
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