11月27日付けロイターによれば、25日、インドネシアのバンバン・ブロジョネゴロ財務相は中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)参加に関する覚書に署名した。ブロジョネゴロ財務相は声明で「インドネシアはAIIBの提案を高く評価し、準備作業に積極的に関わっている」と述べた。

 すでに中国は関係21カ国と10月25日付けで『アジアインフラ投資銀行創設準備に関する政府間枠組覚書』(MOU)を締結しているが、その中にインドネシアは入っておらず保留されていたものだ。

日本主導のアジア開発銀行に挑戦状? AIIBで中国が狙うもの

 AIIBの設立に必死になっているのは間違いなく中国だ。まず北京開催のAPEC首脳会議に向け10月25日にMOUに署名した国々は、バングラデシュ、ブルネイ、カンボジア、中国、インド、カザフスタン、クウェート、ラオス、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、ネパール、オマーン、パキスタン、フィリピン、カタール、シンガポール、スリランカ、タイ、ウズベキスタン、ベトナムの21カ国である。

 AIIB構想はインフラを整備していきたい新興諸国にとって資金調達面でメリットがある。そこからインフラ整備資金を低利で借りることができれば、既存の国際機関からの融資や市場からの調達以外に新たな資金調達チャネルを確保できることになる。

 中国はAIIBを新たに設置することで自らの影響力を最大化し、日本主導のアジア開発銀行(ADB)と競うつもりであろう。

 新興諸国への投資は中国の国益に適う上に、アジアにおける影響力の拡大も期待できる。また同地域のインフラ建設受注を中国企業に獲得させることも狙える。さらに、AIIBでは各国自国通貨建ての貿易・投融資や資金調達を推進することが想定されており、人民元はその中核となり得るだろう。

 AIIB実現は、ウィンウィンの関係が構築できるかにかかっている。公正・公平な制度を構築し、透明性のある情報開示を行うことも重要だ。少なくともADB等、既存の国際金融機関との役割分担を明らかにし、それらと協調する姿勢が不可欠ではないだろうか。

 しかし、AIIBは「中国の中国による中国のための国際金融機関」となるのではとの懸念は拭い切れない。中国が暴走すれば歯止めがきかないリスクも否定できないが、それでも、インドネシアを含め22カ国がすでに中国とのMOUに署名している。