この原稿は中国・深圳市内のホテルで書いている。先週末当地で開催された日中学者交流シンポジウムになぜかお声がかかったからだ。

 1泊26時間という強行軍で香港・羽田を往復したが、その真っ最中に飛び込んできたのが例の日中間「四点合意」という大ニュースだった。というわけで、今回のテーマはズバリ、APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議後の日中関係である。

日中合意の本当の内容

日中首脳会談、APECにあわせ開催へ

中国北京で開かれているAPEC〔AFPBB News

 11月7日夕方あたりから、深圳に集まった日中関係者たちの周辺が騒がしくなった。

 聞けば、内外のメディアが「首脳会談の実現に向け、日中両国政府が四点からなる合意文書を発表した」と報じ始めたという。発表はAPEC首脳会合の3日前、「意外に早く終わったな」というのが筆者の第一印象だった。

 このシンポ、正式名称は「大梅沙中国創新論壇」、7日夜には日中有識者の対話セッションが「笹川日中友好基金」との共催で開かれた。直前日中「四点合意」が発表されたからか、中国側識者の発言が一変したことには大いに驚いた。かくも前向きなトーンの日中シンポジウムはこの数年ちょっと記憶がない。

 過去数年間、この種のシンポジウムでは、中国側が日本の歴史問題と尖閣問題と執拗に取り上げ、日本側がその防戦に努めるという、実に生産性の低い議論を何度も繰り返してきた。

 それが今回は誰もが、「良いニュースだ、本当に嬉しい、日中相互批判はやめよう、関係改善に期待する」などと言い出したのだ。

 いったいどうなってしまったのだろう。その時点では誰も「四点合意」の詳しい内容など知らないはずなのに。それどころか、今も「日中合意」なるものの詳細を知る人はほとんどいないのではないか。

 そうなると、天邪鬼の筆者は俄然やる気が出てくる。この点を解明すべく、いつもの通り、事実関係から始めたい。

 ここでは日本政府関係者の発言に関する報道は繰り返さず、諸外国の反応を中心に次のとおりまとめてみた。