ユーザー目線でアプリ需要の活性化を狙う
Amazonの新戦略

　Amazonがスマートフォン、タブレット端末向けのネイティブ・アプリ市場に、新たな決済手段を提案している。それが、専用通貨『Amazonコイン』*だ。

＊「Amazonコイン」とはKindle Fire、Android端末およびAmazon.co.jpのAmazon Androidアプリストア内で使える専用通貨

日本でもスマートフォンが普及し、それを取り巻くサービスも広がっている。その中で、オンラインでの物流からデジタルメディアの販売・配信まで、幅広い商品やコンテンツの流通を手掛けているAmazonが、Android対応アプリの販売・配信ストア「Amazon Androidアプリストア」を展開している。Eコマース大手のAmazonが提供するアプリストアにはどんな魅力やメリットがあるのか。その取り組みと戦略について取材した。 

独自性を打ち出すAmazon Android アプリストアの挑戦

　eコマースにおける世界的なリーディングカンパニーのAmazonは、日本においても物販を中心とした流通ビジネスをはじめ、電子書籍やデジタルミュージックにインスタントビデオ*など、デジタルコンテンツの領域においても、便利で多様なサービスを提供している。その中でも、立ち上げから2年で急速な成長を遂げているのがAmazon Android アプリストア。

*新作映画、話題のTV番組、何度でも見たい名作映画など、見たい時にいつでも豊富なコンテンツを気軽に楽しめる動画配信サービス

スマートフォンのOSとして世界中でシェアを伸長させているAndroid用に開発されたアプリを購入できるサービスである。Android用のアプリといえば、Google Play ストアを利用している人も多いが、Amazonのアプリストアでアプリを購入するメリットはどこにあるのだろうか。その疑問に対して、Amazonのスティーブ・ラブーシン氏は次のように答える。

 
「Amazonのアプリストアでは、便利で信頼のおけるAmazonのショッピング機能を使いながら数多くのアプリを探して購入することが可能です。過去2年間の間に全世界で3倍以上になった品揃えをおよそ200カ国の言語でご利用いただけます。日本においては、24万本以上のアプリをKindle Fire、PCまたはAndroidスマートフォンおよびタブレット端末からお探しいただけます。アプリストアはキッズ、業務の効率化、ヘルス・フィットネス、ゲーム、ニュースや旅行など、バラエティに富んだカテゴリーをご用意しています」

　そんなAmazonのアプリストアを利用する第一のメリットは『安心』だ。Amazonのアプリストアに登録されているアプリは、すべてAmazon独自のテストを通過した安全なアプリだけ。ハッカーなどが不正な目的で開発したアプリなどは、登録されないよう対策がとられている。地球上で最も顧客を大切にする企業というポリシーを掲げるAmazonならではの『安心』を提供している。

また、二つ目のメリットは『決済』の便利さにある。ダウンロードするアプリはもちろんだが、アプリ内の課金についても、安心安全なAmazonのアカウントで決済できる。Amazonといえば、eコマースだけではなくクラウドサービスのリーディングカンパニーとしても、高度なテクノロジーとセキュリティ対策を実践している。その優れたセキュリティ技術によって守られた決済と、不正な動作がないかテストされたアプリは、利用者にとって何よりも安全かつ利便性の高いサービスとなる。

特に、海外で開発されたアプリの中には、スマートフォンに保存されている個人情報を盗み出そうとしたり、遠隔操作で端末をロックして身代金を要求してくるなど、悪質なものも多い。そうしたアプリの危険性を個人で把握することは困難だが、Amazonのアプリストアでは、厳重な検査を通過した安全なアプリだけが登録されているので、安心して利用できる。

「Amazonのアプリストアは、お得なキャンペーンを実施しています。その一環として、お客様はハイクオリティな有料アプリを日替わりで無料にてダウンロードしていただけます。また、お客様に商品をよくご理解いただき、買い物にご満足いただけるよう、役立つショッピング機能やアプリの商品情報を提供しています。その他、お客様が購入する前にウェブ上でアプリをお試しいただける『テスト・ドライブ』機能もご利用いただけます。（注：USのAmazon Appstore for Androidのみ）

お客様に安心してご利用いただくため、アプリストアではすべてのアプリを事前に検証しています。さらに「おすすめ商品機能」によりお好みのアプリが探しやすくなっており、便利で信頼のおける決済オプションも提供しています」とスティーブ・ラブーシン氏は補足する。

日本のAmazon Androidアプリストアでも、日替わりで有料アプリを無料でダウンロードできるプロモーションを展開している。数百円から千円を超える有料アプリを無料で提供し、月間に換算すると約13,000円分に相当するアプリが無料で楽しめる。

Amazonコインがアプリ購入の常識を覆す

　Amazonでは、アプリストアの利用者がさらに得して楽しめるように、2014 年8月26日から新たに『Amazonコイン』という専用通貨のサービスを開始した。

「Amazonコインは、Kindle Fire端末やAndroidスマートフォンまたはタブレット端末をお使いのお客様がAmazonのアプリストアで購入の際に新たな決済手段としてご利用いただけるものです。Amazonコインは『まとめ買い』ができ、Amazonコインを使ったアプリやアプリ内課金アイテムの購入が通常最大10%お得になります。また、Amazonコインは利用者の増加、ダウンロードの促進と収益化をもたらす大きなチャンスをゲーム開発者様に提供します。」とスティーブ・ラブーシン氏は説明する。

Amazonコインを使うと、アプリストアでの購買が4%～10%の幅で割安になる。例えば、10,000円分のコインを購入するならば、実際には9,000円の金額をクレジットカードなどで決済する。つまり、9,000円で10,000円分の有料アプリが購入できるので、実質1,000円の割引になる。この他にも、500、1,000、2,500、5,000円分のコインが用意され、それぞれに割引がある。

さらに、Amazonコインは購入するだけではなく、プロモーションなどで顧客に提供されることもある。例えば、対象となるアプリをダウンロードしたら、コインがもらえるなど、キャンペーンで取り上げることも考えられる。Amazonコインは、アプリストアのアプリ全般で使える利便性の高い専用通貨なので、特定のゲームやサービスに限定されたコインとは違い、Amazonらしいお得感を提供している。
 

消費者の利便性を第一にしてニーズを先回りするサービスを提供

　実際にAmazonのアプリストアでアプリを購入するには、『Amazon Android アプリストア』というアプリをスマートフォンやタブレットにインストールする。詳しい手順やチェック項目は、Amazon.co.jpのサイトに掲載されている。
（インストール方法についての詳細はこちら）

手順に従って『Amazon Android アプリストア』がインストールされたら、そのアプリにAmazonアカウントでサインインすれば、Amazon アプリストアの画面が表示される。その画面には、その日の『本日限定 無料アプリ』が紹介されていて、スクロールすると人気アプリや新着アプリに、Amazonならではのおすすめアプリが閲覧できる。

Amazonといえば、個人の購買や閲覧履歴を解析して、興味を持ってもらえそうな商品を表示してくれるが、アプリストアでも同様に利用者の興味をひくアプリが紹介される。また、Amazonのサイトですべてのカテゴリーに対して検索を行うと、対象となる商品だけではなく、アプリもリストアップされる。例えば、『アラーム』というキーワードで検索してみると、一般的なアラーム時計と一緒に、スマートフォンを目覚まし時計のように使えるアプリも探し出される。

このような消費者のニーズを先回りする検索サービスなどは、Amazonならではといえる。ちなみに、パソコンのウェブブラウザからAmazonのアプリストアを開いて、そこからアプリを購入すると、スマートフォンの『Amazon アプリストア』のクラウドに登録される。登録されたアプリは、後でスマートフォンでダウンロードしてインストールできるので、まとめてアプリを探したいときには便利だ。  

今後の日本での展開について、スティーブ・ラブーシン氏は「Amazon Androidアプリストアはグローバルでも急成長を遂げており、すでに200ヵ国以上で展開しています。我々は、アプリ開発者様との関係を構築し、日本のお客様にとって最も喜ばれるアプリをこれからも提供し続け、成長を継続させたいと考えています。日本でAmazonコインのサービスを開始することにより、お客様が欲しいアプリを簡単に見つけ、便利にお買求めいただけるようサービス向上を目指します」と語った。 　　　

 

『Amazon Android アプリストア』インストールはこちらから


 

■スティーブ・ラブーシン氏プロフィール

Steve Rabuchin, Vice President
（スティーブ・ラブーシン、バイスプレジデント）, Amazon Appstore

スティーブ・ラブーシンは、Amazon Web Services (AWS)のビジネスディベロップメントおよびディベロッパーリレーションズのグローバルジェネラルマネージャーとして2005年Amazonに入社。その後、Kindleで複数の職務やAmazon Localの立ち上げを歴任。現在はディベロッパーマーケティング、アプリ・ゲームセレクション、ビジネスディベロップメントを含む、Amazon Appstoreのグローバルディベロッパーリレーションズを担当。
Amazon入社前は、IBMにてRational Softwareのグローバルテクニカルマーケティングを担当し、さらには2つのスタートアップを創業した経歴を持つ。カリフォルニア州立大ノースリッジ校で理学士号を取得し、優秀な成績で卒業。