韓国は夏休み真っ盛りだ。夏休みになる前に、大学院生たちに夏休みの計画を聞いてみたら、「私たちは『三放世代(サンポセデ)』ですから、勉強さえすればいいのではないでしょうか」という答えが返ってきた。

恋愛、結婚、出産をあきらめる若者たち

韓国の若者人口、2060年までに半減 政府報告書

韓国で成人の日を祝う若い女性たち〔AFPBB News

 「三放世代」とは、「3つを放棄する世代」の略語で、日本の「さとり世代」と似たような言葉である。

 「三放世代」の特徴は、1つ目は恋愛を放棄し、2つ目は結婚を放棄し、3つ目は出産を放棄することだ。

 ちみに日本の「さとり世代」とは、最近の若者が現実を悟っているところから出た言葉で、彼らの特徴は、「欲がない」「恋愛に興味がない」「旅行に行かない」などと何もしないことを言う。

 「三放世代」と「さとり世代」は少し観点は違うけれど、「どうせできないし、やっても無駄だ」という観念が大本に流れている。

 現在韓国では少子高齢化問題が深刻化しており、出生率はOECD(経済協力開発機構)諸国の中で最下位である。政府は出産奨励金などを出しているというのに、当の若者たちは「三放世代」などと言い、出産から遠のいている。

 三放世代が3つを諦めている理由は、経済的理由が最も高く、就職している人とそうでない人とでは恋愛している率が異なる。

 また、結婚費用の負担があるので、結婚もできない。結婚式だけでなく、ソウルで住む家を探すにはまとまったお金が必要になるからだ。

 出産に関しては、子供は生むだけでいいのではなく養育費がかかる。養育費はそれこそピンからキリまであるので、生んだからには最高の教育を受けさせようと考えたり、韓国の教育環境に辟易していたりするので、やはり出産を躊躇する人が多い。

 特に、彼らは1980年代の後半から90年代に生まれた世代で、韓国は当時右肩上がりの高度経済成長が少しずつ停滞し始め、成熟した社会になりつつあった。