7月23日、日本のテレビニュースで中国の食品加工工場の映像が流れた。テレビの画面には白い帽子と白い作業着に身を包む中国人作業員の一挙手一投足が映し出されていた。

 床に落ちた肉が平然とラインに戻され、青く変色した肉塊も、「腐っている」と認めながらラインにぶち込む。期限切れの鶏肉についても「食べても死にはしない」と開き直る。

 消費期限の改竄は当たり前、衛生観念はゼロ。これが世界最大規模と言われる米OSIグループ子会社「上海福喜食品」の驚くべき実態だ。

 中国では、大手外資系企業の工場ですらこのありさまなのだから、現地の食品会社のモラルは想像するに余りある。期限の改竄どころではない、死んだ豚の肉ですら流通させる恐るべき状況が浮き彫りになる。

「腐敗撲滅キャンペーン」で豚が余ったという説

 2013年3月に上海の黄浦江で豚の死骸の漂流事件が起きた。第1報が伝えられたのは3月9日。メディアが伝える豚の死骸の数は日を追うごとに増え、3月20日には1万頭を超えた。原因不明のこの事件に、中国全土が震撼した。

 豚の耳についている鑑札から、黄浦江上流の浙江省嘉興市から流れてきたことが判明した。嘉興市と言えば中国屈指の豚の生産地である。2012年には10万を超える養豚農家が700万頭以上の豚を出荷している。

 2013年初頭、嘉興市では、2カ月で1万8000頭、1日にして300頭の豚が死ぬという怪事件が起こった。「疫病の流行」が囁かれたが、嘉興市政府はその原因を「正常死、もしくは凍死」と発表した。