7月22日、指名手配されていたユ・ビョンオン氏の遺体が見つかったという知らせが韓国を震撼させた。ユ・ビョンオン氏とは4月に韓国で起きた沈没船事件の海運会社の実質的オーナーとして、全国に指名手配されていた人である。

海フィア、官フィア・・・次々と生まれた新造語

ユ・ビョンオン氏の別荘「森の追憶」の玄関(包丁が刺さっているのが恐ろしい)

 彼には5億ウォンの懸賞金がかかっていたため、「ユ・ビョンオン・ハンター」という造語も生まれるほど、世間を騒がせた。

 実際、筆者が先月、ユ・ビョンオン氏の隠れていた順天(スンチョン)の森の追憶という別荘の近くへ行くと、ユ・ビョンオン・ハンターらしき人たちが2人1組で見張っているのが見えた。

 今回の事故は船が沈没したことよりも、沈没後の乗務員たちの行動が最も非難された。さらに時間が経つごとに、乗務員たちだけでなく海洋警察の初動対応も問題視された。

 そこから「海フィア(海洋水産部+マフィア)」や「官フィア(官僚+マフィア)」などの新造語も生まれた。こうした対応ミスの部分以外に、船舶の不法な改造などが取り沙汰され、実質的オーナーであるユ・ビョンオン氏にまで捜査が及んだ。

 彼は、ただの会社のオーナーではなく、信仰集団の教祖として崇められており、より事件を複雑にさせている。

 ユ・ビョンオン氏は遡ると韓国のおぞましい宗教団体の事件として怖がられた「 五大洋集団自殺事件 」(1989年に起きた韓国オカルト集団の集団自殺事件)の背後にいた人物と目されており、宗教家、会社経営者、写真の個展などを開く芸術家と得体の知れない人物である。

 またユ・ビョンオン氏には、脱税・横領・背任の容疑がかかっており、彼はそれを解明することなく逃走した。そして、警察や検察を嘲笑うようにちょっとずつ痕跡を残しながら逃亡に成功していた。

 フランスへ逃げた長女は捕まり、ユ・ビョンオン氏の逃走を手伝っているとされる手下たちも次々に逮捕されたが、5月25日からは全く痕跡もなく消えてしまった。