今月9日に投開票が行われたインドネシアの大統領選挙で、ジャカルタ特別州知事のジョコ・ウィドド氏が勝利宣言した。

 今回の大統領選はジョコ氏と元軍人のプラボウォ・スビアント氏の一騎打ちで、発表された非公式の出口調査では、ジョコ氏の得票率が52~53%と、プラボウォ氏の46~48%を僅かに上回った。

インドネシア大統領選、両陣営が勝利宣言

ジャカルタの投票所で、票を投じるジョコ・ウィドド氏 ©AFP/ADEK BERRY〔AFPBB News

 プラボウォ候補も勝利宣言を行ったようだが、開票作業がすべて終わるまでには数週間かかる見通しで、次期大統領の就任は10月20日の予定だ。

 インドネシアは、2億4990万人(世界第4位)の人口を抱える。2013年の国民1人当たり国民総所得(GNI)は3580米ドルで、これは国連および世界銀行の区分によれば、フィリピン、スリランカ、エジプト、シリア等と同じ「中所得国*」だ。

* 国民1人当たり国民総所得(GNI)が1916米ドル以上3975米ドル以下

 しかしインドネシアでは、世銀統計上、1日1.25米ドル以下で生活する貧困層は国民全体の16.2%、1日2米ドル以下では43.3%と、貧困層は決して少数派ではない。

 もともとジョコ氏は家具の輸出業で成功した人物だ。軍幹部や官僚・エリート層が中心だったインドネシアの政治指導者とは異質の存在として支持を集めてきた。大統領に就任すれば、おそらく中小企業振興政策は重要な政策の柱となるだろう。そこで今回は、最近のインドネシア零細・中小企業とその政策課題に焦点を当てたい。

インドネシア「零細・中小企業セクター」の現状

 公式統計によれば、インドネシアには5382万(2010年時点)の零細・中小企業が存在し、全事業者数の99.9%、全就労者数の97.2%、GDPの57.1%を占めており、一国の経済・社会の根幹をなしている。

 しかし、その業種別構造を見れば、農林漁業が圧倒的なシェアを占めており、製造業は事業者数の6.4%、就労者数の11.21%を占めるに過ぎない。これがインドネシアの零細・中小企業セクターの実態だ。

<備考>インドネシア零細・中小企業事業者数53,823,734件は企業セクター全体の99.9%。
<出所>インドネシア協同組合・中小企業省資料等より作成