アラブ首長国連邦(UAE)の通信規制当局は8月1日、スマートフォン「ブラックベリー(Blackberry)」について、10月から一部の機能を除き、同端末のサービスを禁止すると発表した。2007年に制定した同国の電気通信法に準じていないというのがその理由で、国家安全保障上の問題があるとしている。
音声通話以外のほぼすべてを禁止
10月11日からブラックベリーの電子メール、ウェブ閲覧、インスタントメッセージング(IM)のサービスが停止されることになる。当局は同日、通信サービスを提供している事業者2社にこのことを通達。顧客に代替サービスを提供して混乱を最小限に抑えるように命じた。
音声通話やテキストメッセージなどの通信事業者が直接提供しているサービスは規制の対象外となっているが、メールやウェブ閲覧ができないということは、スマートフォンの体を成さないことになる。
米ウォールストリート・ジャーナルによると、犯罪やテロ活動、国家安全保障上の捜査において、通信内容を監視できないという問題があり、これにはインドやクウェート、バーレーン、中国なども懸念を示しているという。またサウジアラビアも1日に、ブラックベリーのIMサービスを8月中にも中止するよう通信事業者に命じたと伝えられている。
データは監視が届かない国外へ
ブラックベリーはカナダRIM(リサーチ・イン・モーション)のスマートフォン。世界で4600万人のユーザーを持ち、主にビジネスパーソンを中心に人気がある。高いセキュリティー性能を備え、ほかの端末とは一線を画している。
メッセージは端末側で暗号化され、その状態を保ったまま目的地に届けられる。データはRIMのネットワーク・オペレーション・センター(NOC)で処理されるが、ここでは同社独自の技術を採用しているため、外部からの侵入は極めて困難になっている。
オペレーションセンターは、最も規模が大きいものをRIM本拠地のカナダに置いているが、世界各地にも配置している。つまりデータはユーザーの手元を離れた後、直ちにUAEの国外に出てしまう。このため同国が管理することが難しくなっているというわけだ。