6月16日から3日間、李克強・国務院総理が英国を訪問した。
今回は、総額2兆4000億円以上もの大規模商談を梃子に、それまでダライ・ラマ訪英などを巡りギクシャクしていた中英関係を好転させる歴史的な訪英となる、はずだった。
ところが、思いもかけず、英有力マスコミに「中国側が李克強の女王謁見実現のため圧力をかけた」などと意地悪く報じられ、中国外交にミソをつけてしまった。なぜこんなことが起きるのだろうか。
今回は中国が首脳レベル外交でかくも高圧的な姿勢を取り続ける理由につき改めて考えてみたい。
中国側の対英要求
まずは、いつもの通り、事実関係のおさらいから始めよう。内外の関連報道を可能な限り客観的にご紹介する。
●訪英中の李克強国務院総理は6月17日午前、ロンドン郊外のウインザー城でエリザベス女王に拝謁した。
●英日刊紙タイムズは6月12日、「中国側が李克強訪英の際にエリザベス女王との謁見を求め、英国がそれに応じなければ訪問を取り消すと脅していた」と報じた。(The Times has learnt that talks have been anything but straightforward and involved a direct threat of cancellation.)
●同紙は記事の中で、「女王が英中間の秘密の外交的対決の中で『人質』にされた(The Queen has become a pawn in a secret diplomatic showdown between London and Beijing)」と指摘した。
●英政府筋は同紙に対し、「中国人は手強い交渉相手だ」と漏らした。(A source, speaking to The Times, said: 'The Chinese are hard negotiators.')
●中国側は英外務省に対し、英中両首相夫妻が会う際のキャメロン夫人の具体的服装のごとき細部に至るまで関連情報を入手するよう求めた。(Chinese officials had also pressed British diplomats to find out minutiae of the meetings, such as what style of dress Samantha Cameron will wear when Mr Li and his wife meet the Camerons.)
●英国王室と首相府はいずれも本件についてコメントしていない。(A Buckingham Palace spokeswoman refused to comment on the matter. Number 10 also declined to comment on the reports.)