米グーグル傘下の動画共有サイト、ユーチューブ(YouTube)が今年の夏にも有料の音楽配信サービスを始めると英フィナンシャル・タイムズや英ロイター通信が報じている。

 これらの報道によると、ユーチューブは数日中に社内でサービスの試験運用を開始する予定。この試験期間にユーザーインターフェースを改良したり、バグを取り除いたりするという。

 今夏の一般公開の際には月額制のサービスとして、広告なしの音楽/音楽ビデオを楽しめるようにする。またサービスはインターネット接続がない場所でも利用でき、アルバムのすべての楽曲を聴ける機能も用意するという。

新契約を結ばないレコード会社はユーチューブから遮断?

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AFPBB News

 そうした中、この新サービスが物議を醸していると報じられている。

 ユーチューブは新サービスに伴い、レコードレーベル各社と新たなライセンス契約を結んだ。ところがその内容に異を唱える多くのインディーズ(独立系)レーベルが、契約の締結を拒んでいるという。

 こうしてインディーズレーベルが契約を拒否し続ければ、現在ユーチューブのサイトで公開されているインディーズの既存動画が遮断されることになる。フィナンシャル・タイムズは遮断措置は数日中に始まると報じている。

 なぜ、新たな契約に合意しなければ、既存サイトの動画が遮断されるのか詳細は定かではないが、フィナンシャル・タイムズは、「ユーチューブがすべてのコンテンツを新たな契約条項に基づき管理したいと考えているため」と伝えている。

 またロイター通信は、「ユーチューブは新たな有料サービスと既存サービスとで、ユーザーインターフェースに一貫性を持たせたい考え」と伝えている。

ユーチューブとインディーズ、新契約を巡り対立

 一方、インディーズレーベルは、「ユーチューブが提示している契約内容は、小規模なレーベルにとって不利、交渉の余地がない条件が付けられている」と主張している。

 フィナンシャル・タイムズによると、新サービスには無料と有料の2段階がある。インディーズレーベルの多くは、「新契約ではユーチューブが無料版サービスを著しく強化できる内容になっている」と主張、これにより「無料版に多くの利用者が集まり、有料版の利用者が伸びない。結果としてレコード会社の不利益になる」――。インディーズレーベルはそう懸念しているという。