韓国は1970年代から「漢江の奇跡」と呼ばれる目覚ましい産業の発展を遂げたが、その陰にはもちろん田舎から出稼ぎに出てきた女性などの低賃金労働者たちがいた。彼女たちは、田舎にいる親や大学に進学した男兄弟たちのために身を粉にして働き、彼らの成功をまたは国の発展を支えた。
しかし、ある程度韓国も豊かになった1980年代の後半からは、日本で3Kと呼ばれるキツい、汚い、危険な仕事を忌避するようになった。その結果、人手が足りなくなった韓国に少しずつ外国人(特に東南アジア)の不法労働者たちが集まってきた。
3K産業の人手不足を補ってくれた産業研修制度だったが・・・
彼らは韓国人の嫌がる仕事をしてくれる半面、治安その他で様々な問題が生じた。そのため、1994年に外国人産業研修制度を取り入れた。
この制度は1993年に導入され、94年に施行された制度で、途上国と経済協力を図り企業研修を通じて先進技術を移転するためのものだ。
韓国にとっては、3K産業を中心とする中小企業などで人手不足解消に一役買った。当初は研修期間は2年だったが、1998年からは研修を終えた後、一定の試験に合格すると1年間就職することができた。
しかし、産業研修制度は、人権侵害、企業側や仲間との葛藤など、様々な問題が露見した。また、韓国社会に慣れてしまった一部の労働者たちが不法労働者として韓国にとどまり犯罪などの問題が生じたため、2004年からは外国人雇用許可制が導入された。
これは、外国人を雇用する側の企業も審査を受けるため、外国人労働者たちが不当な処遇を受ける心配も少なく、今では外国人産業研修制度から雇用許可制に移行している段階である。
さて、ソウルの近郊で最も外国人労働者たちが集まる場所は、安山(あんさん)という街である。
安山はセウォル号で最も被害が大きかった高校のある場所で、偶然にも安山のタンウォンという場所が外国人労働者が最も多く、ごく最近まで一番治安が悪いと見なされていた。