欧州議会選挙の投票日まであと1週間を切った。なのだが、スウェーデンでは全体的に、どの政党もこの選挙キャンペーンにはあまり真剣に取り組んでいないような印象がある。4月24日に報じられた世論調査の結果では、「欧州選挙に関する十分な情報を得ている」と答えた人はわずか13%だった*1

 投票率も前回は45.5%、前々回は37.8%とまったくふるわなかった*2。どの党もマスコミも、選挙と言えばこの欧州議会選挙ではなく秋の国内総選挙だ。

投票を呼びかけるショッピングモールの垂れ幕

 という状況だったのだが、5月に入ってからやっと、にわかに選挙運動が勢いづき、ポスターなどが目につくようになった。

 一言で欧州議会選挙と言っても、日本の読者の皆さんにはぴんとこないかもしれないので簡単に説明したい。

 欧州議会は欧州連合(EU)の議会組織で、EU理事会および欧州委員会とともにEUの立法機能を担う。議員は5年に1度の直接選挙で選ばれ、議員数は各国の人口にほぼ比例して割り当てられている(ちなみに議員定数は現在751で、スウェーデンの議席数は20)。

 今回の選挙は5月22~25日に加盟各国で実施される。スウェーデンは25日だ。有権者数はEU加盟28カ国全体で約4億人に上るので、民主的な選挙の規模としては、先日終わったインドの総選挙に次ぐ世界第2位の大きさだ。

 ただし、生活に密接に関係する国政選挙ではないこともあり、特に過去数回の欧州議会選挙はどの国でもおしなべて投票率が低かった。それでも欧州危機後最初となる今回の選挙は各国で極右政党やポピュリスト政党の躍進が予想されることなどから、普段とは異なる意味合いを持っている。

スウェーデンで目を引くフェミニスト党の伸張

 このたびの選挙においては、スウェーデンでも極右党の急進が非常に憂慮されているが、その前に筆者が特筆したい顕著な話題は「フェミニスト党の急激な伸張」である。

 同党は2006年に設立された新興政党だが、現在は支持率4.3%を獲得し、すでに欧州議会の座席チケットを手にしたと言える*3。支持層の成長率だけで比較すれば、1月には1%だったのが、2月に2%弱、4月に3%、5月12日には4.3%と、極右・スウェーデン民主党をはるかに凌ぐスピードだ。

 フェミニスト党の支持率自体も、現連立政権の一角を担う既成政党、キリスト教民主党や中央党と並ぶ勢いだ。ちなみに2010年の総選挙時の同党支持率は、わずか0.4%だった。

*1http://www.thelocal.se/20140424/most-swedes-cite-lack-of-info-ahead-of-eu-poll

*2http://www.gp.se/nyheter/val2014/euvalet/1.2355005-arbetsvillkor-stridsfraga-i-eu-val

*3http://www.expressen.se/nyheter/val2014/fi-i-europaparlamentet-enligt-en-ny-matning/, http://www.svt.se/nyheter/val2014/kraftig-okning-for-m-och-s