バンクーバー新報 2014年3月20日第12号

 ヨットで日本一周に挑戦中のカナダ人がいる。ビクトリアに拠点を置くカーク・パタソン(Kirk Patterson)さんだ。2012年にビクトリアを出航して、2013年7月に函館に到着。現在は福岡にヨットを残して、カナダに一時帰国中だ。

―まず、ご自身について教えてください。

福岡に到着したカークさんと愛船Silk Purse号

 米国生まれのカナダ人なので、米国、カナダの二重国籍を持っています。ボストンの大学院で、国際法、外交史、政治学、経済学などを学び、国際関係学の博士号を取りました。博士論文は日本経済新聞と米国のウォール・ストリート・ジャーナル紙の海外報道についての比較でした。

 それから広報の仕事に就き、PR/コミュニケーション・コンサルティングの会社の日本法人で、社長を務めた後、2002年にテンプル大学ジャパンキャンパスの学長に就任しました。

―流暢な日本語をお話になりますね。

 日本で25年、暮らしていましたからね。1976年から2年間、埼玉県で英語を教えた後、カナダへの帰国をはさみ、文部省(当時)から奨学金を得て、筑波大学でも学んでいます。

―日本一周、ヨットの旅に挑戦しようと考えたきっかけについて教えてください。

 男のロマンです(笑)。私の父は海軍にいたので、その影響もあると思います。以前から冒険的なものが好きで、子どもの頃から憧れていましたが、お金持ちのすることで、難しいというイメージがありました。

 しかし、数年前、タヒチのそばのマルキーズという小さい島を訪れた時に転機がありました。世界一周しているセーラーが立ち寄ることが多く、飛行機でやってきたのは私だけという状況で、さまざまな人と話をしました。

 経験の浅い人にも会ったこと、特に金持ちでなくても大丈夫そうだと感じたことで、以前はイメージでしかなかった、ヨットで旅をしてみたいという思いが、目標に変わりました。60歳からヨットを始めた人にも会って、「50歳代から始めてもいいかな?」「やるなら今だな」と考えるようになりました。

―失礼ですが、年齢を教えてください。

 60歳になりました。