米ウォールストリート・ジャーナルの4月16日付の記事によると、米IBMの今年1~3月期の売上高は、四半期の売上高として過去5年間で最も低い水準だったという。
IBMがこの日発表した2014年第1四半期の決算は、売上高が225億ドルとなり、1年前に比べ4%減少した。これで売上高の前年割れは8四半期連続。また純利益は24億ドルで、1年前から21%減と大きく落ち込んだ。
同社の主要事業部門には「サービス」「ソフトウエア」「ハードウエア」の3つがあるが、今回の決算ではこれらのいずれもが投資家を失望させたという。
ハードウエアの落ち込み激しく、半導体事業も売却か
同社は利益率の低いハードウエアの事業を縮小し、クラウドコンピューティングのサービスや、データ解析のソフトウエアといった分野の強化を図っている。だがウォールストリート・ジャーナルは、これらの市場におけるIBMの事業は、旧来事業の落ち込みを補うまでには育っていないと伝えている。
IBMのバージニア・ロメッティ最高経営責任者(CEO)兼社長は決算の発表資料で、「クラウド」「ビッグデータ解析」「ソーシャル」「モバイル」「セキュリティ」といった重点項目を挙げ、引き続き改革を進めていると説明。「2014年には、こうした施策の効果が出始める」との見方を示した。
しかし一部の投資家はこの説明に懐疑的。思うように進まない業績改善にいら立ちを覚えているという。
今年1~3月期の業績を事業別に見ると、ハードウエア事業の売上高は、前年同期比23%減の24億ドルだった。同事業の売上高全体に占める比率は11%。ハードウエア事業は、昨年10~12月期も26%減、その前の四半期も17%減と大きく落ち込んでいた。
IBMは、今年1月に低価格サーバー(x86サーバー)の事業を中国レノボ・グループ(聯想集団)に売却することで合意した。ウォールストリート・ジャーナルによると同社は半導体製造事業の売却も検討するなど、ハードウエア事業の改革を急いでいる。
主力のサービス事業は2%減収
一方主力のサービス事業の売上高は、前年同期比2%減の138億ドル。同事業の売上比率は61%だった。
IBMは顧客サポートのアウトソーシング事業を売却しており、1~3月期はその影響が出たほか、低迷が続く新興国市場の影響も受けたという。