ウクライナ情勢が一段と緊張の度合いを増す一方、先週のモスクワは素晴らしい春の晴天が続いた。 もちろん、テレビでは東部ウクライナの情勢がトップニュースで刻々と伝えられているのだが、多くのモスクワ市民にとっては4月20日のパスハ(復活祭=イースター)、それに続く5月初のロシアのゴールデンウイーク(1日メーデー、9日対独戦勝記念日)の方が関心は高そうである。

 こうしたなか筆者の本業であるロシア・ベンチャー投資の分野で久しぶりに面白い出来事が起きている。

米国の人気サイトでロシア企業がブレーク中

「GoBe」(写真はすべてインディゴーゴー上のHealbe社キャンペーンサイトから)

 米国のクラウドファンディングのプラットフォームで、インディゴーゴー(Indiegogo)という人気サイトがある。

 ベンチャー企業の新製品、ソフトウエアやゲーム、あるいは映画製作や音楽、美術、さらにはチャリティーなど、世界中の多くの人々から幅広くお金を集めることを可能にしたプラットフォームである。

 このインディゴーゴーに最近キャンペーン登録したロシア企業Healbe社の新製品「GoBe」がネット上で大きな物議を醸しているのである。

 GoBeとは今注目のウエアラブルデバイスで、大きめのデジタル腕時計を一回り大きくしたような形状である。この新製品のキャッチコピーは“The Original 100% Automatic Body Manager™”、つまりナイキが昨年秋に発売開始したNike+フューエルバンドのように日中の体調や活動量をモニターして記録するデバイスであることが想像できる。

 しかし、このGoBeが従来の同種のデバイスと大きく異なるのは、摂取したカロリーを自動的に測定、記録することである。

 従来、摂取した食事の内容をテキストで入力して送付したり、もう少し進んだものだと食事の写真を携帯電話のカメラなどで撮影して送付するとカロリーを計算してくれるサービスというものは存在したが、これは腕に着けているだけで摂取カロリーが分かるというのである。

 もしこれが本当だとすると画期的な技術&デバイスである。飲んだコップの液体がビール(中ジョッキ1杯は約200キロカロリー)か水(もちろんゼロ)か、はたまたノンカロリービール飲料なのか、この小さなデバイスが見分けるのだ!

 当然のことながらGoBeは新し物好きのテクノロジー関係者の注目を集め、インディゴーゴー上での人気は急上昇、3月5日にキャンペーンを開始して4月15日のキャンペーン終了時までに会社側の目標額の10万ドルをはるかに上回る108万4944ドルの資金を4474人から集めた。