本記事はLongine(ロンジン)発行の2014年3月1日付アナリストレポートを転載したものです。
執筆 笹島 勝人
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投資家に伝えたい3つのポイント

●1か月後の消費税率引き上げまでの駆け込みは、将来需要の「先食い」ではと懸念します。
●銀行も住宅ローンの駆け込み需要の取り込みに躍起ですが、借りるのは生涯で1回が基本です。
●銀行の債券売買益は好調時も株式市場は好感しなかったのは、将来利息の「先食い」の側面が一因と考えます。

1か月後の消費税率引き上げは織り込み済みなのか

消費税率5→8%への引き上げが、あと1か月後に迫っています。既に誰もが知っていることだから、日本株には織り込み済みということでいいのでしょうか。確かに関連法案が成立したのは2012年8月、2014年4月引き上げを実施することを決定したのが2013年10月ですから、ずいぶん前から話題にもなり意識もされてきたと考えることはできます。しかし、いざ実施が近くなり、消費者の行動も一段と慌しくなっており、多くの業界で増税前の駆け込み需要の取り込みに懸命になっているのは、どうしてでしょう。

住宅の駆け込み需要

これまで何度か、ここ1-2年は阪神淡路大震災から1997年4月の消費税率3→5%の引き上げまでの状況に似ていること指摘しました。金融緩和による円安、消費税率引き上げ前の住宅の駆け込み需要、貸出の回復、などで押し上げられた株式市場が反落したことでした。ここでもう一度、住宅市場と株式市場の推移をみてみます(図表1)。新設住宅着工戸数の前年比は、2013年2月の前年比3.0%増をボトムから上向き始め、直近12月は同18%増となりました。月次の振れが大きいため6か月移動平均すると、TOPIXもほほ同じトレンドを辿っています。

出所:国土交通省、SPEEDAをもとに筆者作成