愛知県刈谷市が、市内の小中学校の生徒・児童に対し、21時以降はスマートフォンや携帯電話の利用の禁止を決めたことは随分と物議を醸した。

 この案は、学校の現場の教師たちから声が上がり、各校の生活指導担当教師や警察の生活安全課署員等で構成される刈谷市児童生徒愛護会が発した。市内のPTA連絡協議会などから各小中学校が要請を受ける形で、この4月のPTA総会で保護者向けに話があるということだ。

 愛護会で主導的な立場にある1人の校長から、この施策を行う背景として次のような見解が示されたことも注目を集めた。

“ごく普通の子供の中には、無視やスルーが嫌で常にスマートフォンを身近なところに置いている子がいます。そこまでやりたくないのにって子供もいるんです。そうした子供たちに、21時以降は親にスマホを取り上げられるから、と言い訳ができる状況を作りたいんです”

 これは、友達からのLINEやメールのメッセージに即答しなければ、「無視した」「スルーした」などと、翌日学校で責められることが増えている子供たちの環境に配慮してのものだ。

 加えて、夜遅い時間になってからLINEやメール経由で夜遊びの誘いを受ける子供が「親にケータイを渡しているから知らなかった」と言い訳する後ろ盾にできることも意図されている。

 また、次のようにも述べている。

“保護者は自分で子供のために契約しておきながら、トラブルがあれば問題を学校に持ち込みます。子供に持たせるために契約したのは保護者でありながら学校にです。これでは責任の所在が本末転倒です”

 これは、本来保護者も責任を負うべきところを、一方的に学校へ責任を負わせようとする保護者が存在することへの苦肉の策であることを窺わせる。

 この取り決めが発表されて以降、たとえ対症療法だとしてもこのような規制は必要だという賞賛派と、頭ごなしにこのような規制をしても意味が無いという類いの批判派が混在している。

子供の保護のためにはどんな規制が必要なのか

 内閣府が行った「平成25年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、いまや高校生でほぼ全員、中学生では半数、小学生でも3人に1人が携帯電話を所有し、そのスマートフォン比率も高まっている。