バンクーバー新報 2014年2月27日第8号

 ファーストフード店でのメニューに、カロリー表示を義務付ける法案がオンタリオ州で24日成立した。

 大手ファーストフードチェーンの中には、すでにメニューの成分に関する掲示を店内に張るなどしているところもあるが、今回の条例により、商品ごとのカロリーをメニューに明記しなければならなくなった。

 肥満が北米での大きな健康問題となっていることを受け、カロリー表示を徹底させることで消費者がメニューの選び方に気をつけるようになることを、オンタリオ州政府は目指している。

 同州保健相デブ・マシュー氏は、「専門家との話し合いの中で、若年層の肥満を防ぐためには、カロリーを表示することが最も適切との結論に至った。中には塩分やトランス脂肪酸、糖分などの表示もあわせて行うべきだとの意見もあったが、提供する情報が多すぎて消費者が逆に無視する可能性があるため、カロリー表示だけにとどめた」と記者会見で説明している。

 塩分もカナダ人は摂取過剰で、心臓病などのリスクを高めているという指摘が専門家から出されているが、条例では塩分の高い食品については、店内のどこかにその旨の表示を求めているが、メニューへの明記は必要としていない。

 今回の条例の対象となるのは、オンタリオ州内に20店舗以上を展開し、年商5百万ドル以上のファーストフードチェーン店。カロリー表示は商品価格と同じように、サイズやテイストごとにはっきりとメニュー上に明記されていなければならない。

 オンタリオ州首相キャスリーン・ウィン氏は、この条例は肥満と塩分過剰摂取に対する取り組みのひとつだと話している。その一方で、州民にも食品に関する情報を積極的に収集し、賢い食生活の選択が自己の健康管理に直結することを十分認識してほしいとも語っている。

 オンタリオ州によると、糖尿病など肥満関連による医療費の支出は、2012年には約45億ドルに上ったという。

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