カンボジア初の大学対抗ロボットコンテスト(以下、ロボコン)が、あと1カ月少々にまで迫ったところで、ようやく繋がったバンコクでの制作用パーツ調達への道。

 出発前日、万一の場合に備え、出発便を朝一番の便に変更した。パーツを調達するのはそんなに容易なはずがない。一分一秒でも長くバンコクに滞在してパーツを探す時間を作ろうと思ったのだ。

 すべての出発準備が前日に持ち越しとなり、結局深夜まで準備をしていたら、1時近くにジョッキーさんからメールが入った。

 「このメールを出発までに読むかどうか分からないが、明朝は10時頃バンで迎えに行くから、ホテルに到着したら電話をください」と。

 ジョッキーさんもこんな深夜まで頑張っているのだ。しかも、翌日金曜日はタイの祝日で土日を合わせれば3連休なのである。その休みをつぶしても、我々のために嫌な顔一つせず働いてくれているジョッキーさんには、本当にいくら感謝しても足りないくらいだ。

 3時間後、一睡もせずにそのまま空港に向かい、一路バンコクへ。

いざ、合計1350個のパーツ購入へ

 バンコク・スワナブーム空港からBTS(モノレール)に乗って市内に向かう。窓越しに見る風景は、すでに乾季の後半を思わせ、空には厚い雲が垂れこめていた。

 朝10時過ぎにホテルに到着すると、約束通り、ジョッキーさんはアシスタントの女性ニンさんを伴ってホテルにやって来た。12月のMCOTでの打ち合わせ以来、2カ月ぶりの再会である。2人とも変わらぬ笑顔で私を迎えてくれた。

 そして、用意されたMCOTのバンに乗り込むと、そこで待っていたのは、タイ・ロボコンの入賞チーム。

 いかにもリーダー然としたしっかり者のプイ、メガネをかけて知的な感じのチャック、そしてちょっと太めでおちゃめなバードの3人組の男子学生たちだ。ニコニコしてとても感じが良い3人に、私は密かに「ロボコン三銃士」と名づけた。

ロボコン三銃士の面々。左からチャック、プイ、バード(写真提供:筆者、以下同)

 そして、英語が話せない3人に代わって、ジョッキーさんが説明する。

 「今日は祝日なので、市内のパーツを売っている大きな店が休みです。だからちょっと郊外のお店を何軒か回れば揃うと彼らは言っていますよ」と、私が送ったパーツリストを見せた。

 そこには、それぞれの項目にタイ語で店の名前らしきものが新たに記入されていた。約束通り、ちゃんと下調べをしてくれていたのだ。