今冬の欧州は、例年以上に厳しい寒波が吹き荒れている。泳いだ形のまま凍りついた魚の群れ、逃げる暇もなく氷漬けになったヘラジカやキツネなどのニュースは、日本のネット上でも話題になっているようだ*1。
寒さが厳しくなるにつれて、路上の物乞いも増えてきている。街の大通りには、紙コップを前に置いた人たちが数十メートルおきに座っている。交差点に立って見回すと、同じ位置から4~5人は目に入るようだ。
増え続ける物乞いに対し、他の多くの欧州国と同様にスウェーデンでも「路上での物乞いを禁止すべし」という声がますます大きくなってきた。現在、「禁止すべし派」と「禁止に反対派」が世論を二分している状態だ。
さらに数週間前に大きく報じられたことは、路上の貧困者にカネを与えてそのカラダを買う人がいるということだ。
路上の少年を買う男
全国紙DNに掲載された「路上の物乞いに性サービス購入者が近づく」と題された記事*2によると、ストックホルムの路上で物乞いをする若い男性に、性の購入を目的とし近づいてくる人がいると言う。
記事中でディミトリと呼ばれている彼が、最初にカラダを売ったのは20歳の時だ。彼がストックホルム中心部に座って物乞いを始めると、初老の男性が近づいてきて財布からクローナ札の束を出し、「自分と一緒に来ればこれは君のものだよ」と言ったという。
「(性交渉を求めてくる)ほとんどの人は、かなりきちんとした身なりをしている。彼らは、30歳、40歳、50歳、時には80歳くらいの高齢のこともある」と話している。
性交は300クローナ(約4700円)。オーラルセックスで250クローナ(約3900円)。数千クローナを提供する者もいると言う。
「たった10分で物乞いの1週間分に相当する額だ。ノーと言うのは難しい」
彼は同性愛者ではなく、ロマ人の妻がいる。彼はむしろ女性にカラダを売ることのほうがましだと思っているが、「女性とセックスした後にカネ払って、と言うのか? そういう人はいないだろう」。
彼は通常、行為の間は目を閉じて、それが自分の妻だと思おうとしている、と言う。
それは単純にカネのためだけに行う行為であり、カネを必要とするなら、それは正常だ。自分たちの多くはそれを行っている。
「自分の母親が病気なのに、医者にかかる余裕がない時に人はどうするでしょうか?」
*1=http://commonpost.info/?p=85538, http://news.infoseek.co.jp/article/knuckles_1125
*2=http://www.dn.se/sthlm/sexkoparna-kommer-fram-nar-han-tigger/